これで星付天麩羅店になったら大変だ、天青

業界関係者から来年度版ミシュランガイドで「2つ星」になるはずだと漏れ聞いた青山の天麩羅店。
しかもそれが今年の2月に決定されていたと聞きましたから驚きました。発売して3ヶ月の時点での次年度格付け決定は手抜きであります。
「ぐるなび」でのこの店のトップページには、「ジョエル・ロブション氏からも絶賛をいただきました」とフレンチ界の重鎮の名を出して集客を試みていますが、こんなヤラセみたいなことして良いのか。実はこの「天青」、ロブショングループ3店を経営する宅配のピザーラで有名な「フォーシーズ」の配下であります。要は系列の店宣伝にロブションの名を使っただけでして、まったく客観性はありません。
さて10月初めの夜、週はじめというハンディはあったにせよその日の店内は悲惨でありました。10席のカウンターは私が帰るまで他の客ゼロ。いくつかある個室も1組だけでありました。
7200円から1万5000円まで5種あるコースからとりあえず最高値をチョイス。
まずは肴が5皿。ほうれん草のお浸し、イクラと蟹味噌、銀杏、明太子と胡瓜と小柱の和え物はいずれも凡庸。「楽亭」の付き出し2品のレベルとはほど遠い皿数稼ぎでありましたが、骨煎餅(キス、メゴチ、穴子)は面白くお酒が進みます。造りはアオリイカとホタテで特筆するものはなかった。
さて肝心の天麩羅は、衣が薄いほとんど素揚げに近いものであります。揚げが緩いのか、海老の尻尾は食べきれません。アスパラ含めて野菜の質は悪くはないと思うのですが、やはり火入れが緩くて甘みを感じません。
キスは肉厚でしたがカラッとしておらず、メゴチも半生のようで旨みを引き出しておりません。唯一マイタケと穴子がまずまずと感じたくらいか。13ほどの天麩羅の後、かなり甘い天丼で〆となるのですが、店内に張られていたオススメの「鮑」を頼んだのが失敗。小さくて旨みを感じなかったのですが、支払額に驚嘆。ビール2、酒が4合ほどで何と2万7000円。一人分ですよ。サービス料10%を考えても追加の鮑が3000円のカウントです。
肴、造り、天麩羅と何ら傑出したものがない2つ星(予想)天麩羅店。CPも悪くロブションのヤラセ絶賛に釣られて訪問してはいけません。

なぜこんなバカ高いコースをつくる、恵比寿

「ホテルの鉄板焼きに個性なし」は友里の定説であります。肉質、調理法、サービス、支払いと、どのホテルでも似たり寄ったりの「脂まみれ料理」だと思っていたのですが、ウエスティンホテルのミシュラン1つ星店「恵比寿」だけは別格でした。何が違うかというと、それは価格。なんと最高は5万円を超えるコースまで用意しているのです。他のホテルの倍に当たる高額コースに興味を抱き、今回は個室利用の接待という滅多にない店訪問での評価であります。
いくら接待といっても限度があるため選んだコースは上から2番目の4万2000円。清水の舞台というより、「恵比寿」のある22階から飛び降りたつもりの決断です。
まずは各自にドンペリが1杯。フレンチでは1杯4?5000円するこのシャンパン、無理に入れて高価格コースにする「商売上手」に脱帽です。
続くは伊勢エビのジュレ。バルサミコとトマトのソースが緩い凡庸な一品です。大トロの炙りは何のことはない鉄板でさっと火入れしただけのもの。これって「炙り」というかと突っ込む前に添えられた山葵をみて唖然。客単価5万円する超高額コースに堂々と「混ぜ山葵」が添えられているのです。客を舐めんなよ!
フォアグラは一昼夜西京味噌につけたものですが、質が良ければ鉄板でソテーしてバルサミコでシンプルに調理した方が美味しいはず。味噌に漬け込む必要はありません。
伊勢エビ(半身)も最近は有り難がる人は少ないのではないか。柚風味で、私には余計な一品。ドンペリと共に外してでも値下げしてもらいたかった。
かなり前から時間をかけて端の鉄板で調理していた鮑の岩塩蒸し、ガーリックか岩海苔のソースのどちらかのチョイスなのですが、こんなソースに頼る鮑に質を期待してはいけません。
サツマイモ、豆腐、万願寺唐辛子、椎茸といった焼野菜がこの日の唯一の納得料理。主役の松阪牛にも「混ぜ山葵」がでてきて興醒め。種々あった調味料では玉葱ソースが唯一○でした。
〆では各自ガーリックライスや饂飩などを別々にチョイスできる柔軟性はありましたが、値付けの高いワインリストから最安値に近い物を選んでも一人当たりの支払いが5万円前後。CP勿論×で総合評価も当然×。夜景がお好きな方以外は近寄らなくて良いでしょう。

安くはないが満席の食べ放題、バルバッコア クラシコ

週末の情報番組で知ったシュラスコの食べ放題店。TVでは青山店でしたが、選んだのは新丸ビル店の「クラシコ」であります。
しかしこの新丸ビル、地代がかなり高いのでしょう。内容がほとんど変わらないこのシュラスコ食べ放題、青山の「バルバッコア グリル」では4500円なのにここでは5800円。ワインもある飲み放題も3000円以内(飲めるワインが異なる3コースあり)も丸ビルに行くだけで4200円以内(2コース)に跳ね上がります。何種かのワインが入った飲み放題(4200円)にした我々は一人1万円コースとなってしまいました。
店内は普通のテーブル以外に10人まで座れる長テーブルが目立ちます。社内コンパや合コンなどの利用の為でしょう。
着席してシュラスコオーダーのルールがあることを知りました。コインのような物がテーブルに1枚置かれています。コインの表裏表示でシュラスコサービスのゴー・ストップが出来るとか。牛だけではなく豚、鶏、ラムまで部位の違いも入れて15種前後あるシュラスコ料理、次から次へと持ってきますので、時々コインをひっくり返して一息つくことをオススメします。
野菜好きな友里はまずはサラダバーに直行です。サラダだけではなく魚貝やハムなどを使った前菜は30種はあるでしょう。まともに味わったら、ここだけでお腹一杯になりますから注意が必要です。
そしてシュラスコ。リブアイは結構美味しい。ピッカーニャ(尻の部分)もまずまずながら、鶏、ソーセージ、ガーリックステーキは食べ放題店としてかろうじての許容レベル。豚肩肉と和牛ランプは塩が足りず、ハツは臭みがあってデカ過ぎです。クッピンはセブ牛のコブだそうですが、まるでコンビーフみたいなお味でありました。その他の肉も試した感想は、下手な和牛と称する物より海外産と思われる肉の方がマシ。ガーリック系を除いて肉の味付けはメリハリがないというか結構緩い。飲み放題の2時間制限を待たず、入店1時間半でお腹一杯となり店をでました。
食べ放題と言っても予算は一人1万円。CP良いビストロならこの予算でもっと満足する料理に出会うでしょうが、小学生以下は2100円と格安なので、家族連れ、若い人の合コン用には話のタネにオススメです。