プロフェッショナル・仕事の流儀 前篇

ミシュラン3つ星「すきやばし 次郎」の二郎さんが1/8(火)の22時からNHKに出演しておりました。読者の方からの情報のほか、日刊ゲンダイからも番組のコメントを求められていたので録画をチェック、日刊ゲンダイでは言い足りなかったので、今日から2回にわたってもう少し突っ込ませていただきます。
一言でいえば、「なんでNHKが一個人店の宣伝をするんだ」との疑問であります。民放ならば未だわかりますが、何の検証もなくただ「次郎」を褒めたたえる放送内容は、公共の電波を使用する国営放送に近い位置づけのNHKとしていかがなものか。あーあ、ついに書いちゃいました。これでもうNHKからの取材は永遠に来ないでしょう。
進行役の脳科学者、茂木健一郎氏は最初からなんら検証ないまま二郎さんを褒めまくっておりました。「二郎さんの鮨は世界的に高く評価されている」と冒頭紹介していましたが、私は山本益博さん絡みでロブションやフェランが褒めている以外、外国の人が褒めているのを聞いたことがありません。フランス、イタリア、スペイン、アメリカで「次郎」の知名度が高いとは到底思えないのです。
ロブションの絶賛発言もしつこく放送していました。確かにフレンチの世界では一世を風靡した有能料理人だと思いますが、鮨が本当にわかるのか。というか、「次郎」以外の鮨屋へ行ったことがあるのでしょうか。同じ3つ星の弟弟子の「水谷」よりどう違うのか、ミシュラン掲載を拒否した「銀座小笹寿し」と比べてどうなのか、「さわ田」よりもタネ質が上だと思っているのか、3番手だった「青空」と大差ないのではないか、といったことをロブションに確認させてから褒めさせるのならいいのですが、何とも一方的な讃辞でありましたから、いい加減な造りの番組だと私は考えます。
そこら辺のヨイショ雑誌やミシュランガイドと同じく、店側の一方的な口上をそのまま放送、果たしてその口上が真実かどうかをまるで検証しない内容はただの店宣伝番組と言えるでしょう。
例えばカツオ。二郎さんは戻りカツオを使わないと里見真三氏の「次郎 旬を握る」で公言しています。(70ページ参照)脂がくどくて爽やかさに欠けるからカツオは春の初ガツオしか使わないと。
でも今回の放送でしっかり藁で炙ったカツオが出ていました。客も食べながら「カツオじゃないみたい」といった発言をしていた。
今回の番組、NHKは「ミシュラン」絡みで特集を組んでいましたが、この場面の収録は昨年の春だったというのでしょうか。いくらなんでもそんな賞味期限切れになるような映像ネタを使うとは思えません。昨秋の収録ではないか。ということはいつの間にか二郎さんは前言を翻し「戻りカツオ」を使いだしたということか。
NHKが放映の10ヶ月前の収録をそのまま使ったとしたらそれはそれで問題。
何時の間にか「次郎」が戻りカツオを使いだしたのだとしたら、NHKがその方針転換を追及するといった検証をせずただヨイショ、絶賛報道を垂れ流したことになり、それも公共放送として問題であると考えます。
(明日に続く)

祇園さゝ木 x イル・ギオットーネ@伊勢丹 京都展

年末年始に予定していたイヴェントを個人的な事情でキャンセルして家でくすぶっていたせいか、2キロほど太ってしまいました。適度な筋トレや有酸素運動と節食で体重が戻りかかっていたのですが、連日伊勢丹の「京都展」へ通ってめぼしい物を食べ続けたせいか、また体が重くなってしまいました。自分の意志の弱さが情けない。
本日最終日に今回のイヴェントでは一番のウリといえる「祇園さゝ木」と「イル・ギオットーネ」のコラボ店で食べて気づいた点を述べたいと思います。
出店していた他のお店の料理も持ち帰って色々食べましたので、その感想は週末にでもアップさせていただきます。
それほど混雑していないようで、30分ほどの待機で入ることができました。
コース3780円1本だけ。オープンキッチンには洗い場、コンロ、スチコンに冷蔵庫くらいしか見当たりません。パスタ以外の料理は別の場所で製造した造り置きであるのは想定していたのですが、バットに無数の温玉(さゝ木)や寒ブリ(ギオットーネ)が乗っているのを見るとあまり気持ちのいいものではありません。
両店の調理スタッフは6名以上居ましたか。「ギオットーネ」は京都と東京にありますが、大箱になったとはいえ「さゝ木」は京都1店ではなかったか。東京駅近辺にコラボ店をオープンしたとの話も聞きますが、名前貸しでしょう。
よって、この6名以上のスタッフ、本当に「さゝ木」の正社員なのでしょうか。京都の店を閉めて全員で上京しているならわかりますが、京都もやっているとしたら、この6名は普段は何をしているのか。これは「ギオットーネ」にも言えることです。私はイヴェントのために臨時に雇った派遣調理人が大半ではないかと思ってしまいます。
前菜は両店とも造り置きそのもののクオリティ。果たして両店とも自分の厨房で造ったものなのか、船場・吉兆のようにどこかへ丸投げしたのか知りませんが、わざわざここへ来てまで食べるものではないでしょう。近くの和食屋かイタリアンへ行った方が手の込んだ造りたての前菜が食べられるはずです。
お椀は「さゝ木」が担当した白味噌仕立て。この時期経験できる京都の有名店のものよりコクを感じなかったのは先入観からか。
「ギオットーネ」のタリアテッレ、ガラス皿で供されますが冷めています。しかも伸び伸び。こりゃイケません。
ここまではまったくの想定内だったのですが、見てはいけないものを途中で発見。もとい、友里にだけは見せてはいけないものを見てしまったと言った方が的を射ているでしょう。
「さゝ木」のネームの入ったユニフォームを着ているスタッフが「鉄砲和え」で使用していた白味噌。ビニール袋に密閉されていましたが、表には何と「11日分」と大きく書かれていたのです。今日は14日でっせー、佐々木さん。
所詮白味噌ですから、11日の客が少なく余ったものを3日遅れで出したところで味わいに大きな違いがある訳ではないでしょう。ネットなどでは「味音痴」と言われている友里ではまったく違いが分からないかもしれません。
でも昨年から「賞味期限切れ」問題が大きく報道されてきました。同じ関西では、「船場・吉兆」が民事再生法の申請を検討しているといった報道もありました。
これほど「期限切れ」に関して世間の注目が集まっている時期に、わざわざ3日まえの袋を使用するこの無頓着さ、まったく今回の騒動を他山の石としていない証左であると考えます。
食材の期限意識に関心が薄いのは「船場 吉兆」だけではないと私は考えます。かなりの店が適当にやっていたと想像しますが、この機に及んでこんな脇の甘いことをしているとは思いませんでした。まだまだ飲食店業界ではこのような「期限」とか「産地」といった問題を深く受け止めていないのかもしれません。
このことを黙ってブログにアップするのは忍びなく、顔バレ覚悟で陣頭指揮していた佐々木氏に、他の客にはわからないよう指摘しました。佐々木氏はすぐにごみ箱から袋を取り出して確認し、「11日分」と書かれているのを自ら潔く認められたことを最後に書かせていただきます。
今回の件は、「賞味期限切れ」というような大そうな問題ではないかもしれませんが、店側が想定していた日より3日遅れて使用してしまったのは事実。こんな事になるなら、袋に使用予定日なんて書かなければ良かったのではないかと素人的には考えます。

「店評価ブログ」を更新しました

早朝に緊急の電話がかかってその対処にバタバタしておりましてアップが遅れました。
「店評価」ブログに2店追加しましたのでお暇な時にお立ち寄りください。
料理高い、ワイン高い、傑出した料理ない、とCP最悪のフレンチ「オーベルジュ ド リル ナゴヤ」と、まったく美味しくないトンカツとキワモノのポークソテーがでてくる過大評価店「すぎ田」であります。
名古屋の景気の良さは聞いていましたが、これほど余裕のある客が多いとはびっくり。東京でこのままの値付けと料理を出したらまず客はこないとおもうのですが、5月に旧ジョージアン跡に東京進出の予定とのこと。「ひらまつ」が戦略を変更するか、このまま押し通してくるか、楽しみであります。
浅草の名店と言われながらトンカツや海老フライが美味しくないだけではなく、ポークソテーの奇抜さに唖然となりました「すぎ田」。なぜ絶賛されているのか私には理解できません。