来年もまだ3つ星を張るつもりか、かんだ

ある和食店主から、「ミシュラン日本版は、うちと『かんだ』を選んで最初から躓いた」との自虐的ジョークを最近聞きました。今年久々に訪問してあまりの食後感に呆然として取り上げる気力をなくしていた友里、この一言でやる気をでたのです。

どうせ無理だろうと当日電話したところ2回転目の8時半なら大丈夫と言われて急遽駆けつけたのが初夏。コースは3択で1万5000円から5000円刻みで2万5000円まで。
おいおいオープン当初は1万円コースのみ(すき焼きを追加すると5000円アップ)だったのに、3つ星になって価格だけは成長し続けているのに驚きました。
3コースでどう違うかとの問いかけに、1万5000円と2万円の違いは主に量、2万5000円は食材が異なるとの回答で我々は迷わず最高値を選んだのです。

結論から先に言わせていただくと、味が目茶苦茶濃いだけの居酒屋料理のオンパレードでありました。
まずはズイキ、蓴菜、冬瓜の餡かけ。ゴマが余計でしょっぱいだけの味。その夜の食後感を諦めた瞬間です。
長良川の稚鮎もイマイチ。数日前に食べた鮨屋(宮葉)の方が遙かにマシでありました。クラッシュアイスに直乗せの造りはなんと「常磐」のコチと言うではありませんか。正直な点は評価しますが、汚染水を海中放棄したニュースがまだ忘れられていないこの時期、高額店ならせめて産地を変えて欲しかった。

お椀は毛蟹とグリーンピースの真丈。出汁は濃くなかったですが、3星レベルではありません。穴子寿司も味濃いだけのイマイチで、天然鰻はあまりに小片で味わからず。
宮崎牛のヒレカツは1時間かけて揚げたそうですが、やはり小片が3切れだけ。しかも脂っぽくて温すぎでまったく美味しくない。
スッポンの煮物もドロドロしていて俗に言う丸鍋とはまったく別物。

そして最後でまた驚かせて貰ったのが〆の「桜エビのかき揚げ小丼」であります。コース価格2万5000円の3つ星和食の〆に出すご飯物なのか。ここは天麩羅屋なのか。
いやヒレカツまで出すなんて単なる「和風のうまいもの屋」ではないか。いや実際は美味くないからその範疇からも逸脱しているミシュランを転けさせた3つ星和食であります。

果たして2012年版でも3つ星を張って更にミシュランを転けさせるのでしょうか。