寿司屋というより高質な魚料理店、英ちゃん冨久鮓

この店を知ったのは5年以上前か。関西在住の知人から、高質な天然フグを食そうと誘われて訪問したのですが、この店名に私は思わずのけ反ってしまったのです。街場の寿司屋でもあり得ないネーミング、東京でこの店名ではまず客は入らないでしょう。
「ぐるなび」にはビールのクーポンがついており、とても拘りがある店とは思えなかったのですが、HPやネット掲示板で質に拘った高級食材を出す店で、夜は客単価が2万円はする高額店と知ったのです。

大阪はミナミの居酒屋などが乱立する区域。扉を開けたら数十年前にタイムスリップしたかと思うレトロなカウンターが目の前に広がります。そして2階は座敷だけ。
トップレベルの食材を仕入れていると自負する主人が用意したその日のフグは7キロ以上の大物で熟成させない厚めに引いた刺身は食感、旨みも充分。白子焼き含め焼フグ、ちり鍋、雑炊と予算は3万円以上でしたが満足したのです。

鮓屋でフグ尽くしコース?そう、この店は寿司屋と言うより旬の高級魚を堪能させてくれる自称「鮓屋」。夜の仕込みを兼ねて昼から通し営業なので、空いている昼訪問がベストです。
久々の訪問は今年の3月。勿論1階のカウンターでまずは魚料理の連発です。
突き出しのホタルイカはまずまず。豊後水道の鯛は厚めに引かれ旨みがしっかりあり美味しい。淡路のオコゼも薄造りながらポン酢以外のオコゼの味わいを感じます。下仁田葱や椎茸の焼き物も悪くはなかった。
今回特に良かったのが鯛中骨の障子焼き。塩焼きで鯛の旨みがたっぷりで、泉南の渡り蟹も子が多くて美味かった。

ここらで握り。大阪ガスの提供番組「魔法のレストラン」で紹介されたというネギトロ巻き、話のタネにチャレンジしましたが残念ながら普通でした。
しかし、分厚い鯖、デカさに驚いた赤貝など、鮪以外の質は傑出もの。酢飯に何ら特徴がないのが突っ込める点でありますが、単に米に高質な魚の切り身が乗っていると考えれば腹も立ちません。

名物というねぎま汁にそれほどのものを感じなかったけど、ほとんどの魚に満足して店を後にしたのです。昼にちょっと飲んでの支払いは1万円台半ば、寿司屋と思わず高級魚料理店として訪問すれば誰でも満足するでしょう。
オミヤの鯖棒寿司もオススメです。