小料理も出す高額オデン屋、元赤坂 ながずみ

自称美食の王様、友里に言わせると「過食のオコチャマ」の来栖けい氏と親しいお任せコース一本のオデン屋。料理研究家に限定すればビジュアル派と言われる園山真希絵氏が恵比寿に営んでいる紹介性家庭料理店「園山」、その料理長をやっていた小河(おごう)雅司氏が昨年独立して開いたカウンター10席の店です。

私がこの店を知ったのは読者からの告発メール。オープン直前に資金ショートを起こしたのか、来栖氏が自分の信奉者に資金援助を集っていると言うのです。まだ30歳の来栖氏ですが、ヨイショ専門のグルメライターといえど資金公募を堂々と訴えるほど店と癒着して良いものなのか。すかさず友里は実態調査に乗り出したのです。
来栖氏の信奉者といえば、純粋無垢で外食経験も少ない若い女性が主体。飲食店の援助が出来るほど余裕があると人は少ないはずですが、募集内容を知って私は失礼ながら肩の力が抜けてしまった。なんと1口5万円からの出資募集。見返りは食事代のディスカウントでありました。
募集総額がわかりませんがスケールの小さな話ではありませんか。こんな募集を信奉者にかけるくらいなら、9000軒も自腹で外食していると豪語する来栖氏自身が黙って資金提供すれば、店も恥をかかずにすんだことでしょう。

料理はコース1本。家庭料理の延長線上の小料理が4品ほど出てから、唐墨を挟んでオデンが7種ほど、そして牛の焼き物とご飯もので〆となります。
2回訪問しましたが、2皿目には可もなく不可もない茶碗蒸しが定番。魚は薫香つよい太刀魚やウニと水前寺海苔を挟んだ鯛でありました。これまた質、調理とも普通、アサリ出汁の全粒粉蕎麦には驚きました。
オデンは蕗や蕪、大根、お麩、白滝などヘルシーなものが多かったですが、オデンとしては高額店なだけに原価を考えると複雑な思い。定番の牛の焼き物、鯛茶もこれまた普通レベルでありました。

小料理、オデン、焼き物、ご飯ものとダメ出しするほどではないですが(半生の鱒寿司だけは勘弁)、お酒を飲んで1万数千円の支払額を考えると今ひとつ、いや二つほど物足りません。
オデン屋は通過点で小河氏は本格的な和食を目指していると漏れ聞くだけに、まずはこのオデン屋のクオリティを上げる努力が急務ではないでしょうか。