ミシュランガイドの実売数について 2

昨日からはじめたこのシリーズ。出版業界(ごく一部)への問題提起は単なるイントロでありまして、出版本の推測実売数の法則や、ミシュランガイドの実売数に関して述べるのが本題。大きな関心を呼ぶと自信を持ってアップしたのですが、掲示板を見る限り盛り上がっておりません。もうミシュラン自体をネタにした瞬間に、世間からは相手にされなくなっているのでしょうか。

数年前までは、ミシュランで飯食っていた(マスコミからの取材が多かった)友里としましては寂しい限りです。とはいえ、明日までこのシリーズを引っ張らなければなりませんので、本日は推測実売数について触れてみます。

単行本などの実売数をどうやって推測するのか。出版社自体が印刷部数を開示しない事が多い出版業界ですが、そこにはある大手書店(全国チェーン)での売り上げ開示がキーとなるのです。
ある大手書店(具体名は勘弁)は全国チェーン店合計の仕入れ累計、売り上げ累計、返品率などを一般向けではありませんが業界内で開示しております。

業界内では、この書店の「仕入れ累計」や「売り上げ累計」を10?12倍した数値が、日本の市場全体の概数と言われているのです。簡単に言えば、全国の売り上げの10?12分の1をこの書店チェーンで売り上げてしまっていると言うことであります。

たとえばこの書店チェーンで2万冊売れたとしましたら、全国では20万部を超えるベストセラーであるというわけです。2600冊ほどしか売れなくなってしまったら、全国では3万部ほどしか売れていないということ。
最近はアマゾンが伸してきていますから少しずつこの法則が外れてきている可能性がありますが、傾向を比較するにはまだまだ充分使えるのです。

ちょっと脇道にそれますが昨日書いた拙著の件。印税から算出した部数と、この書店の売り上げ累計の10倍とでは倍半分の差が出てしまったと言うことです。拙著に関しては、普通の単行本に比して倍の数がこの書店で売れた。つまり拙著の購入者の大半はこの書店の近辺が活動範囲だったということでしょうか。真相はわかりませんけど。

詳しくは明日のブログに書きますが、2007年から昨年までのミシュランガイド東京版は3種。2008年、2009年、2010年版でありますが、その売れ数(この書店チェーンでの)は年々激減しているのです。半減どころではない減少であります。
2年目の2009年版が想定外に売れなかったので、2010年版はかなり刷り数を減らしたようですが、返品率は高水準のまま。ミシュランガイド離れは昨年の段階でおさまらなかったのです。

この右肩下がり、これからどこまでいって下げ止まるのかナレさんも心配になったのでしょう。かくして2011年版は、横浜や鎌倉といった取材地域を増やしてテコ入れをはかってきたのです。
取材地域を増やすと言うことは、星付き店を更に乱発するということです。新たに星がついた店関係者(親戚含め)、常連客、そしてその地域在住の外食好き、と新規の購入層を一時的ではありますが獲得して、ミシュランガイドの実売の下げ止まりを狙ったのでありましょう。

明日のブログは、ミシュランガイドの推測実売数について可能な限り具体的に述べるつもりです。

明日につづく

ミシュランガイドの実売数について 1

出版物の実売数はどうやって推測するのかご存じですか。ミシュランのナレさん(今年でミシュランガイド総責任者をリタイヤという噂もあります)が昨年言っていた

京都・大阪版は10万部

というのはあくまで印刷した部数でありまして、実際に客が買った実売数ではありません。
初版が売れたかのように増刷だと騒ぐ著者(友里、さとなお氏、関谷江里さんなど)がいますが、最近はわざと初版を抑えて発売直後に

増刷だ?!

と銘打って一般客を煽る手法も多いようです。もっと狡猾なのは、最初から初版と二刷りを同時に印刷してしまうという掟破りの手法でしょうか。
売り切れが長く続くと熱がさめてしまいますから、出版社としては早めに増刷という手を打つわけでして、増刷が続いたといっても初版が完売したという意味ではありません。

つまり、増刷したけど初版も含めて在庫の山、という事態も大いにありうるわけです。
また出版して時間もたたず

また増刷だ、?刷りだ

と騒ぐライター(たとえば友里、関谷江里さん、さおなお氏)もいますが、問題は初版の数とともに増刷する数であります。
初版が2000部で増刷が1000部ずつの場合と、初版が5000部で増刷が2000部ずつの場合では、同じ刷り数でもトータルの印刷数に大きな違いが出てくるのは誰でもわかることです。

本来ならば、初版は何部、増刷は何部とはっきり開示すればいいのですが、出版業界はディスクローズがお嫌いな業界のようで、そんなことをしている会社は皆無に近いのではないか。

世間一般に刷り数を開示しないだけならわかるのですが、出版社の中には著者にさえ何部刷ったかその数(初版や増刷)をはっきり言わない会社(一部です)までありますから驚きの業界でもあります。
ではなぜ著者にも刷り数を言わないのか。単純に考えると著者に支払う

印税をごまかしたいから

といった理由しか私には思い当たりません。
本日は何が言いたいかと申しますと、

刷り数さえはっきり開示していないのだから、実売数なんて一般人にはわかるはずがない

と言うことです。
ナレさんが「?万部刷った」と豪語していても、その半分が返品されていたら話になりませんよね。

では我々一般人だけではなく同業他社(出版業界)も実売数がまったくわからないかと言いますと、あるデータから日本全国の実売数をかなりの精度で推測する法則があるのです。この法則は出版業界の方には常識なのですが、一般にはそれほど知られておりません。

私はこの法則をある出版社の編集から知らされまして大変驚きました。
あくまで拙著(具体的な記述は勘弁)に限定してのことですが、この法則が表面上まったく当てはまらなかった。印税から算出した部数とこの法則を当てはめた推測実売数が倍半分であったからです。はっきり言うとその出版関係者から教えられた推測実売数が印税から算出した部数の

倍もあった

のです。
出版社によっては、担当する編集者や編集長も増刷部数を知らされない、いや増刷自体も知らされない場合があるということを聞きましたから、この業界(あくまで一部です)はある意味むちゃくちゃ閉鎖的であるとも言えます。

明日以降は、その推測実売数の法則がどのようなものなのか、そしてミシュランガイドをその法則に従って計算した結果の推測実売数(元データは出版関係の読者からいただきました)はどのくらいなのか、などを出来る限り具体的に(世間一般には公開されていませんので多少ボカします)述べてみたいと思います。

この原稿を書いている段階での、先週発売されたばかりの2011年ミシュランガイド京都・大阪・神戸版のアマゾンランキングは110位であります。神戸まで範囲を広げましたが、東京版と同じく2年目からはかなり失速しているように見えます。

明日につづく

パリに無事到着

6時間前ほどに無事パリに到着しております。チェックインしてネットにつないで掲示板を見たら、かなり盛り上がったスレがあるのに驚きました。周回遅れで参加できない雰囲気です。

無事着いたのは当たり前で、無事でなかったらニュース沙汰になっておりますからたいそうなブログタイトルを付けるまでもないのですが、なにぶんまだ当地は25日の23時頃でしてかなり眠い。さきほど夕食から帰ってきたばかりで寝る前に26日分のブログをなんとかアップしようと頑張って(無理して)いるところであります。

現在進行形でありますので、宿泊しているホテルや訪問したレストランをオンタイムで詳細に開示することは出来ないのですが、行数稼ぎに今夜行ってきたレストランについて一言。?

今夜行ったのは、友里が好きでない元料理人がプロデュースしている(レシピは提供しているそうですけど)ホテル内のレストラン。日本の支店を何回か閉店させている空飛ぶ料理人の店です。

月曜だというのにさすが3つ星、満席でしたが17卓くらいあるホールで日本人は私を入れて4組いました。欧州も中国人に占領されていると思っていたのですが、それらしきグループは居ませんでした。おかげさまで、料理が美味しいかどうかは別にして、静かに(うるさくなく)食事が出来きたのはラッキーでありました。

デギュスタシオンというのでしょうか、シェフオススメのコース(なんと360ユーロ)を頼んだのですが、正直イマイチ。しょっぱいだけ、コライユ味だけ(オマール)と単調な味わい。強いていうなら最後の鶏料理、白トリュフが旨みのない鶏肉をカバーしていてなんとか楽しめました。
添え物含めて野菜が多く一見ヘルシーに見えるのですが、味わいの浅さに反してバターや塩の使用が多く実際はヘルシーではありません。これなら最初からはっきりクラシックな調理にした方が客も納得するのではないか。
機内での食事を極力控えてのぞんだのですが、チーズやデザートに行き着く前にお腹一杯になってしまいました。

友里には、どこが3つ星料理なのかまったく理解できないパリの初日ディナーでありました。

本日は簡単でありますが、これで終わりとさせていただきます。