まったく盛り上がっていない、東京ミッドタウン

先日、読者の方から「東京ミッドタウン」のレストランの予約をしたかとの問い合わせをいただきました。私はすっかり3月末がオープンということを忘れておりました。勿論、予約を入れるどころかどんな店が入るのかも知りませんでした。「ダノイ」と「ヒラマツ」の出店を除いて。
皆さん、もうオープン1ヶ月を切ったというのに、この盛り上がりの無さは不思議だと思いませんか。
六本木ヒルズや表参道ヒルズの時は、オープン前の雑誌の露出は大変なものでした。店宣伝雑誌で有名な「東京カレンダー」では、表参道ヒルズの特集までやっていましたが、最新の東カレを見ても東京ミッドタウンの案内が見当たりません。
アクセスパブリッシングは、森ビルと違って三井不動産系には距離を置いているのでしょうか。しかし、交詢ビルの時はかなりのページを割いていたと記憶しております。推測するに、今月発売のもので、大々的に宣伝してくるのではないでしょうか。
そこで一足先に、ざっと出店されるレストラン&バーを見て、友里的な視点でいくつか取り上げて見たいと思います。
ざっと数えたところ28店舗が出店するようです。その中で突っ込みを入れたくなる店として
江戸切庵
ついに蕎麦店まで手を伸ばしてきたか「グラナダ」。元はピッツァのチェーン店運営ですが、メーカー勤務だった大学教授の古川修さんも究めることができると自慢しているくらいですから、蕎麦の奥は浅いという証左でしょう。多店舗展開の会社が進出するくらいですから。
可不可
変な店名ですが、「宮下」グループの和食です。有名な?アートディレクターやインテリアデザイナーも迎えて「新しい和の形」を提案するそうですが、肝心の料理人に力を入れないのでは、本末転倒であります。
ダノイ
西麻布の本店も、「アッキアーノ」、「トルナヴェント」、「エスペリア」など新興に押されて埋没気味のはず。こんな家賃の高いところへ出店する資金と人材の余裕があるのでしょうか。
てんぷら山の上 六本木
「楽亭」、「近藤」、「深町」など実力店、過大評価店を輩出してきた江戸前天麩羅の老舗。六本木へ稼ぎに出てきたようです。家賃が高いからCPはどうなるでしょうか。
ハル ヤマシタ 東京
料理界で異端児シェフの名をもつ神戸出身の山下春幸氏の東京初進出店とのこと。しかし、異端児と言われても、このシェフの名、まったく聞いた事がありません。ネットで検索して彼のブログを見つけました。
http://blog.livedoor.jp/nadabanoffice/
ジャンルが良くわからない、「山下料理」のようですが、大胆にももう予約を受け付けております。更に驚いたのは、強気の2回転営業。14皿のコース1本で、前半は17:00?20:30、後半は21:00?24:00までの完全入れ替え制。多皿なので2時間はかかるそうですから、入店は18時が限界でしょうか。
しかし、京都の和食では18時くらいから客が入っていますが、東京で18時入店を強制して客に受け入れられるかどうか。「さわ田」も入れ替え制をそのまま持ち込んで銀座で当初は苦労したはず。六本木でこの営業スタイルは難しいと考えます。
関西在住の方で、このシェフの評判などをご存知でしたらお教えください。まったく知らなかった、という情報でもかまいません。
ボタニカ
ひらまつグループのお店。コンラン卿が提案するモダンヨーロピアン料理とのことですが、これまた私はまったくわかりません。
ボデガ サンタリア
あの麻布十番の「バル レストラン ミヤカワ」の新業態だそうです。三井不動産の関係者に出店を口説かれたと推測しますが、「交詢ビル」で苦戦している小規模な店を反面教師にしていないのか。場所が本店と近いだけに難しいと考えます。だいたいあの規模で、厨房スタッフやホールスタッフをどう手当てするのか、不思議です。
出店リストをざっと見て、事業主側(ビル)がどうしても招致したかったというような目玉の店、有名な店、出店だけで話題になる店、がないのがこの東京ミッドタウンの特徴でしょうか。
あの多店舗展開の「サルバトーレ」も見当たりません。最近知ったのですが、この店の運営会社であるワイズテーブルの大株主が森ビル。HPでは一番先に書かれているので筆頭株主でしょうか。愛宕、六本木、表参道のヒルズに出店している訳がわかりました。大株主の手前、ライバルである東京ミッドタウンへの出店は控えたのかもしれません
注目されていないとはいえそこは新しい観光スポットです。観光客やミーハー客は浮気性ですから、六本木ヒルズの店はこれから厳しくなると考えます。

「店評価ブログ」、更新しました

このブログで「店訪問」として書き込むときは、批評や評価を全面に出さず、「訪問記」のような形で感想を述べるようにしております。
あまりマスコミに露出していない、または一見客があまり行かない店などを取り上げる場合の配慮であります。昨日の「川喜」も、たまに週刊誌や雑誌に載りますがそれほど一般読者に知られている店ではないので、そのようなタッチで書かせていただきました。いつもの「斬れ」が見られないとのご意見をいただきましたので、ここに弁解させていただきます。
さて、「店評価ブログ」に、中目黒の狭いビストロ「ミカミ」と西麻布の焼鳥の繁盛店「鳥よし」を追加しました。ビストロ好きの友里ですが、狭さなどデメリットをカバーするほどのCP良い料理に巡り合わなかったミカミ。混んでいて開店直ぐか閉店間際でないとなかなか入れない鳥よし。
お暇なときにそちらのブログにも立ち寄ってください。

越前三国港 川喜

先日、三国港近くの「川喜」(本当は『喜』ではなく『七』が3つ)へ行ってきました。
金沢の友人のところへ仕事の相談に行った際、うまい蟹を食べに行こうということになり、知人や和食のご主人から一度は言ってみろ、と言われたこの店を思いついたのです。確か昨年、山本益博氏も週刊誌で絶賛していた越前蟹の有名店。
せっかく行くので、芦原温泉に泊まることも想定して昼に蟹を食べようということになり、店の予約は私がすることになりました。
電話でのやり取りから、コースしかないこの店の料金は、蟹の競り値で一定していていないことがわかりました。平均的な金額を聞いたところ、二人で蟹1杯で5万円前後、2杯にしたらなんと8万円くらいになるとのこと。予想以上に高いではありませんか。以前、丹後半島の「とと屋」で間人蟹を食べたときは、宿泊がついて一人4万円超でした。そして蟹は一人1杯半はありました。即答で二人で1杯に決定したのは言うまでもありません。
芦原温泉駅からタクシーで15分、3千円を超えました。足代もばかになりません。
民家風の建屋ですべて個室対応。主人と女将の二人しかいなようで、人件費はかかっていないようです。
メカブなどの前菜、鰈の肝のお通し、甘エビの造り、鰈の煮物、ハタハタの焼き物のあと、出てきた蟹はかなりの大きさです。1杯にしてホントに良かったと思いました。
出汁を逃がさないようにしゃぶりつく食べ方をこの店特有で「しがむ」というそうです。確かにいい味しているというか、かなり濃いお味。
これが越前蟹の本当の味だと言われればそれまでですが、間人や京都で食べた松葉蟹よりかなりシツコク感じたのです。何杯か茹でたあとの出汁でこの蟹を茹でたように感じてしまうくらいです。
雑炊までなんとかたどり着きましたが、これは大変な量であります。一人1杯頼んでいたらかなり食べ残すことになったでしょう。
私はこの日以降、今シーズンずわい蟹を食べたいとは思わなくなりました。それほど良くも悪くも印象的な味わい。話のタネにはいいですが、この店だけのために訪問するには料理も足代もあまりに高額です。タクシーの人も、福井で1番と言っていましたから間違いないのでしょうが、私的には再訪はありません。
というか、その後蟹を食べたくなくなってしまいましたから、代償は大きかった今回の店訪問でありました。
同じ高額食材ならば、「フグ」の方がしょっちゅう食べられると考えます。