ここ何回か、昼時に新丸の内ビルへ食事に行ってきました。相変わらず女性客を中心に混んでいましたが、東京駅近くということで旅行ついでの人が多いのでしょうか。日曜だというのに駐車場はほとんど並ばないで入れたのには驚きました。
5階?7階のレストランフロアでは、そろそろ勝ち組と負け組がはっきり出てきたようです。観光スポットで人気があるといっても、すべてのレストランが盛況だというわけにはいかないのでしょう。
混んでいるか、空いているかの違いは、ランチではやはり料理価格。例外はありますが、1千円台前半の店はだいたい行列ができています。ただし「酢重ダイニング」とおでんの「こなから」はちと厳しい。軽井沢の味噌、醤油、食材を使うとのうたい文句ですが、1500円と一番安いランチが「サバの味噌煮」と軽井沢で獲れない魚ですから冗談みたいなもの。もう「軽井沢ブランド」は通用しないのではないか。
夜の酒のツマミに最適なオデン。昼で特に夏場は難しいのではないでしょうか。年中昼夜営業の再開発ビルに「オデン」の営業は今後も厳しいと思います。
鰻の「前川」。意気込んで出てきたようですが、オープン当初から簡単に入れるというか行列を見たことがありません。うな重など3千円前後と高かったのが原因のようで、2千円前後の「うな丼」なども用意してきましたが時すでに遅しかも。
北野ホテルの「イグレック」も最低のランチコースでも4千円弱と高いですから入店は簡単のようです。あの「オー グード ジュール」も以前はドアを閉め切っていましたが、現在は満席ではないのか、ドアは開放され、中が覗けるようになっておりました。「イル カランドリーノ」ももう行列はなくなっておりました。
前置きがながくなりましたが、今日の問題提起はこのビルで一番の行列を作っている「自由が丘グリル」の営業方針であります。すごい行列なんですけど、私はこの洋食屋の存在をまったく知りませんでした。入口の張り紙には、「静かに紳士淑女の落ち着いたひと時を楽しんでいただくため小学生以下入店お断り」と書かれています。フレンチの「イグレック」など洋食より雰囲気を重視する店でさえ「子供可」を打ち出しているのに、家族で外食に一番適している「洋食屋」が小学生以下お断り、中学生になってから来てくれという不思議。だいたい「洋食屋」が「紳士淑女」を云々するほど格が高いものなのか。
何か勘違いしているのではないか。この変な経営姿勢はどこからきているのか。本店でも子供不可なのか、とちょっと調べた友里はすぐその理由に納得したのです。
自由が丘近辺にあったというこの「自由が丘グリル」は、洋食屋のネーミングですが実は一軒家風のダイニングでありました。しかも、普通洋食屋というと家族経営だと想像しますが、ここはダイニング系の和食などを展開している多店舗展開会社の経営だったのです。(株)グッドコックといいまして、西麻布の「こんぶや」や「たまさか」そしていくつもの「ほの字」を経営している会社です。
http://www.good-cook.co.jp/Jiyugaoka.htm
このURLをクリックしますと「自由が丘グリル」が表示されます。そして右上の[Home]をクリックすると「たまさか」、「ほの字」、「こんぶや」がでてきます。
「たまさか」には昔何回か行きましたが、雰囲気だけ重視の安めの創作和食であり、調理や食材にこだわっている店ではありません。「こんぶや」はオデンにしてはちょっと高いか。
つまり、浅草や銀座の洋食屋とは生まれがまったく違う、経営姿勢も違う「ダイニング系洋食屋」なんですね。ダイニングを経営している会社が母体ですから、そりゃ子供に興味がないのは当然です。
でも「洋食屋」というのは、昔から代々継承されてきた味に魅力があるわけです。ところがこの店は、単なる創作和食を多店舗展開するダイニング会社が、フレンチほど手間暇かけずに高く値づけることができる「洋食」に目をつけて進出してきただけ。「洋食偽装」とはいいませんが、老舗の、昔からある「洋食屋」でないことは確かであります。ネーミングから地元の洋食屋と錯覚しますが、もう自由が丘のダイニング洋食はやめているはずで、これも客に誤解を与えてしまいます。
「新丸ビルグリル」もしくは、「丸の内グリル」と改名しすることを私はおススメしたい。
小学生以下お断りの洋食屋なんて考えられない
最近訪問した店 短評編 8
友里は読者の方から色々な情報をいただいております。私自身がネット検索などで確認できた事で、飲食店業界の問題点にかかわることはこのブログで述べているのですが、事実だとしても確認できないネガティヴな情報は開示することができません。最近、ある多店舗展開会社の資金繰りがかなり厳しくなってきているとの情報が入りました。リストラ、支払い遅延などの話も聞いています。たとえ事実だとしても、より信用不安を引きおこすので開示は慎重に考慮しなければならないのですが、公になる時にあらためて述べさせていただきたいと思います。「飲食店と屏風は広げると倒れる」と言われていますが、「屏風は閉じすぎても倒れる」はずで、経営のかじ取りは難しいものです。
さて、最近訪問した店シリーズ、今日も3店です。
やす幸 銀座
ホント、5年以上行っていなかったでしょうか、久々の訪問です。バブル前後の時は、ソニービル近くにあった本店は、入店を待つ行列で一杯でした。予約もできたのですが、私も何回か並んだ記憶があります。同伴にも使われていた繁盛店だったのですが地域再開発で閉店、銀座地区では支店だった7丁目店1つになったはずですが、客入りは隔世の感がありました。満席でないどころか5割方しか客が入っていません。昨年共著「グルメバトル」の取材で行ったこの「やす幸」から独立した「おぐ羅」が超満席でしたからどうなっているのでしょうか。内容的、価格的にはほとんど差がないと思います。かえって「おぐ羅」の方が狭くて雰囲気は良くないくらいです。おでん屋といっても、数ある刺身やツマミが高いので、飲んでつまんでその後オデンを食べたら1万円を突破してしまう高額店。オデン的には悪くはないと思いますが、銀座ではもっと安いおでん屋がいくつもありますから、リピートは難しいです。
ガルゴティエ・ササキ 中野
知人から誘われたネットでは安くてCP良いと言われているフレンチ。中野駅から徒歩で15分はかかります。高田馬場の「ラミティエ」のようなCP感を期待したのですが、友里的には期待外れ。2940円のコース1つだけで、アミューズ、前菜は決まっており、メインがホロホロ鳥か子羊の2つだけとまったく選択肢がありません。厨房1人、ホール1人ですから限界があるでしょうが、「ラミティエ」の原則2千円で前菜、メインと選択肢が豊富なコースとはまったく比較になりません。調理も平凡で野菜も少なかった。ボリューム、野菜の量、価格と「ラミティエ」の方がかなり上行っていると思います。
ビストロ ド ラ シテ 西麻布
ひょんなことから知り合った4人会の3回目の会食で訪問。私の好きな店で楽しみだったのですが、今回はちょっと?。まず長年いた女性(ソムリエール)が辞めていて別の女性に変わっていました。彼女はまずまずなのですが、外人らしき若き男性スタッフとの連携が悪いのかかなりストレスがたまります。オーナーもいつものようにフロアにでているのですが、まだうまく機能していないようです。
料理は同伴者には不評なものもありました。フォアグラバニラ風味は依然と違ってハーフポーションなのか半額近くになっていて頼みやすく好評。しかし、仔羊などはどうってことない質と調理だというのです。そう言えば、テット ド コション、最初に食べたときはもっと美味しかったのではないかと思えてきました。店内は相変わらず満席。訪問し過ぎて調理に慣れて感動がなくなってしまったのか、調理や質が落ちてきたのか、たまたまその日の我々の体調もしくは厨房の出来が悪かっただけなのか、答えは次回に持ち越しです。
早川光氏いわく、肥満体形で腕のいい鮨職人はいない
鮨ブームは未だに続いているようです。次から次へと鮨に関する本が出版されています。自称鮨通、鮨好きな人のお店紹介、職人紹介の本も多い。以前ちょっと触れました映画監督が本業と言っている早川光氏(鮨コミック「きららの仕事」の原作者)の「日本一 江戸前鮨がわかる本」、江戸前鮨の蘊蓄や歴史のほか、江戸前鮨屋の名店を羅列しています。
「あら輝」や「青木」、「つかさ」が名店として挙げられているのに、マスヒロさんの権威付けに利用されているあのゴッドハンドの「次郎」が乗っていない不思議。江戸前鮨の名店のはずなのに、どちらかというと海鮮ネタ系の北海道鮨「すし善」を掲載しているのは矛盾ではないでしょうか。
しかし本当に驚いたのは第二章実践編の「腕のいい職人はスタイルもいい」と題したところであります。
彼の経験の中でとのことですが、凄いな、名人だなと思う職人さんはほとんど例外なく肥満体の人がいないというのです。
早朝からずっと一日中立って仕事している人は肥満になれない、固太り、ちょっと太り気味ならゆるせるが、明らかにおなかがボコッと出ている人や、体を動かしていない印象がする体系の人は、仕事を人任せにしているのではないか。自分は主人だからいいんだ、と言い張るのは結構だがそういう人の握りは食べたくないと言い切ってしまっております。
世間では辛口と言われているこの友里でも、人の体形を評価項目に入れてそれだけで差をつけてしまっていいのかと、その独断というか偏見に驚きました。
何も好き好んで太っているわけではないのではないか。生来太る体質の職人もいるでしょう。細身の職人と太めの職人で、ツマミや握りに顕著に差が出るものなのか。若い衆を雇っているなら、彼らに掃除や仕込みを任せてもいいのではないか。何でも親方が一人でやってしまっては、若い衆は育たないではないか。
そういえば、マスヒロさんや芝浦工業大学教授の古川修氏も絶賛している新橋の「しみづ」。この友里の勤務先を知って「嬉しい」とレターまで置いて行ったにもかかわらず、礼を兼ねて訪問したら入店拒否した珍しい行動をとる親方ですが、世間の評判も良い江戸前鮨の人気店・繁盛店であります。
それなのに早川光氏はこの「しみづ」も江戸前鮨の名店として取り上げておりません。その理由は何なのか、清水氏は誰が見ても決して細めではないですから、それだけの理由で早川氏の選から漏れたということでしょうか。
清水氏は友里が「恰幅がいい」と著書で書いたことが気に障ったと漏れ聞いておりますが、それで友里征耶が出入り禁止になるなら、早川さんも当然「しみづ」には入店することは出来ないでしょう。