修業元の次郎より使い勝手やCPが段違い、青空

昼は30分で3万円弱、夜も1時間粘れず4万円近く請求される銀座の「すきやばし 次郎」。主人の小野二郎さんとベッタリの山本益博氏以外、こんな法外な時間単価の鮨屋へリピートする客は経費族かマゾな人しかいないと思うのですが、その3番手が銀座8丁目に「銀座 青空(はるたか)」を出しました。
近辺は「久兵衛」、「小笹寿し」、「くわ野」、「奈可久」、「ほしな」など新旧の人気店がひしめく激戦地。
いずれの店もツマミを充実させているだけに、酒飲みを軽んじる店で修業した高橋青空氏がどのような営業をするか非常に興味がありました。結論から言わせていただくと、修業店の悪い所を修正し、数少ない良い所を維持した食後感の良い鮨屋。
カウンター8席と小上がり1つのキャパに女将、若い衆、そして女性とスタッフ数は充分。雑居ビルの3階ですが思ったより内装も豪華です。
緊張感ない中、ツマミとしてのヒラメ、タコ、〆鯖はまずまずの質。「次郎」ならこれで終わりですが、その後アン肝など酒肴がでてきたのには驚きました。修行店ではありえない。練馬の他店批判で有名な「鮨処 すゞ木」の主人が「次郎の弟子がツマミを習いに通ってきた」という自慢話をしていたのを思い出しました。
ビールとぬる燗でゆっくりツマミを楽しんだ後握りへ移行。ちょっと硬めの煮ハマの他は、赤身、中トロ、トロの3連発にコハダ、大きな茹でエビ、子柱軍艦巻きなど「次郎」とほとんど変わりません。特に仕事をしたタネは同じ。ついこの間まで「次郎」で仕込みをやっており、仕入れルートも同じだから当然か。
握りがやや硬めで好みがわかれるところですが、ツマミ、握り、お酒を楽しんだ2時間超で支払は2万数千円。「次郎」でこれだけ粘ったら軽く倍以上の請求ですから、銀座の他の高額店と比べても決して高くないこの値付けは評価に値します。
主人は傲慢さなく客への態度まずまず、せかさずゆっくり楽しませ支払額も妥当、と「次郎」の悪いところを修正し、タネ、仕事とほとんど違いのない鮨を提供する「青空」。23時半までの営業で何回転かさせていますが、「しみづ」や「あら輝」のような時間制限がないので友里としては銀座の中では再訪したい鮨屋の一つとなりました。今後も、清水氏や荒木氏のような「勘違い」をしないことを切に望みます。