ホテル閉鎖にめげず無事移転決定か、真魚

久兵衛から独立して10年近く経った「鮨かねさか」。その間に支店を増やし続け、今やシンガポールはラッフルズホテルにまで進出してしまった膨張著しいチェーン店でありますが、この「真生」もその「かねさかグループ」の1店だということはあまり知られておりません。
オープン当初は、海老蔵プロデュースをウリにしていましたが、例の事件で表に出しにくくなりました。

鮨は食べたいと思った時にすぐ行きたいもの。何週間、いや1ヶ月以上も前から予約して行くものではありません。
同じグループ内の「鮨さいとう」は1ヶ月以内では予約が入らないだけに、昼なら飛び込みで入店できるこの「真魚」は有り難い。よって友里はたまに利用させてもらっているのであります。

食後感は「さいとう」と変わらないので(ツマミを含めたトータル感では真魚の方が上と判断)、友里にとってリピート回数が最高の鮨屋。
「絶品レストラン」(鉄人社)でオススメ掲載した「宮葉」や「大河原」よりも実は訪問回数が多いのであります。

そんな友里にとって使い勝手が良い(接待でもプライベートでも)「真魚」に衝撃のニュースが走ったのは去年の5月だったでしょうか。
大家である東京テアトルがテアトルビルを売却決定。「ホテル西洋銀座」を2013年5月末に閉館すると発表してしまったのであります。
ホテルがなくなるのですからテナントも閉めざるを得ない。余命が1年切った段階でのこの退去通告は飲食店にとってかなり厳しいものでありました。
移転先がなかなか決まらなかったようですが、直近の訪問でこのホテル近辺に無事移転できそうだと聞きまして友里は安心したのであります。

前置きが長くなりましたがその4月の夜のお任せについて述べてみたいと思います。
この店の特徴は、前述の「入店しやすさ」と「タネの豊富さ」でありましょう。
「鮨さいとう」に勝るとも劣らない(と言っても、「さいとう」が最高峰のツマミと握りを供しているというわけではありません)ツマミと握りを「さいとう」より多種にわたって用意しているのです。

今回の訪問ででたツマミは13種ほどでありましたか。
絹もずく、水茄子(最近はハウスものなので季節感なし)などのほか、鯛、トリ貝、馬糞ウニ、鰹など海鮮系からシャコ、タコの柔らか煮、蒸しアワビといった江戸前系。そしてノドグロ塩焼きやアン肝など小料理系と盛りだくさん。

握りは酢飯にさほどの特徴はないけれど、鮪(赤身、中トロ、トロ)からコハダ、サヨリ、鰺といった光りもの、そして煮ハマ(季節によってはない)や穴子、干瓢巻と仕事ものまでまんべんなく揃っております。

お任せなら2万円台となる支払いも銀座鮨としてはそれほど高くありません。
移転してこの食後感が落ちないならば、今後もリピートし続けたい使い勝手の良い鮨屋と考えます。