J.C.オカザワ氏から教えられた業界人や銀座のお姉さん御用達のジャンル不詳のコース料理店。秋元康氏、林真理子氏、そして清原選手も通うというこの店は入谷駅から徒歩10分、住宅街の中の一軒家であります。一応洋食にカテゴライズされると思いますが、価格設定はグランメゾン並みです。HPでは1万5千円、2万円、2万5千円の3コースとありますが、電話で主人に確認したところ、自称グルメの業界人たちが食べているコースは3万円以上のものだと言うのです。安いコースでは秋元氏や林女史の味センスのなさを糾弾できないと判断、無理して3万円以上のお任せコースを事前予約して友里は昨夏乗り込みました。
10席ほどのL字カウンターですが客入りは良くないのか店内は寂しい。ワインはカウンター横の棚に常温で保管されています。これでは高いワインを頼む気がしません。
料理は少量多皿コース。結論から言わせていただくと、この店の料理は鮑、牛ヒレ、牛タン、マツタケ、伊勢海老とアイテムだけは業界人が喜ぶ食材が出ますが、質は高くなく調理は家庭料理の延長線上のレベル。どこにも傑出さを感じません。
箸でも切れると評判の牛タンですが、茹でたものを炭火でさっと焼くだけですから当たり前です。シシャモは冷凍、早松(さまつ)は中国産ですから有難がる食材ではない。
絶賛のビーフカツは肝心の肉の旨みがない。蟹クリームコロッケは味濃く業界人好みなだけ。夏の方が旨いと主人が言っていたフグのタタキはまったく旨みを感じず、肉の刺身も同様。伊勢海老と早松天麩羅の素麺、ステーキと玉葱のサラダ、ヒレとアワビのステーキ、アワビとヒレのピラフなど成金が喜ぶ食材のオンパレードでしたがどれも満足しません。質に拘らず集めた高級食材を手間かけず調理しただけの家庭料理。調理法を変えても出る食材がほとんど重なるというセンスのなさ。いかに、業界人や作家が質や調理に関係なくこの手の食材がお気に入りであるかという証左と言えます。食材が落ちる安いコースは追って知るべし。
安いボトルワインにビール、グラスの白を頼んで一人4万円を軽く突破。フレンチのグランメゾンに相当する支払額で、街場の鉄板焼き以下の食後感。業界人や文化人の屯する店に旨いものなし、定説です。