人材不足で支店を出すとは、てんぷら山の上 Roppongi

「楽亭」や「近藤」といった都内の人気天麩羅職人を輩出した「山の上ホテル」。彼らの成功を見て機会を窺っていたのでしょう、ついに本体が東京ミッドタウンに進出してきました。ガレリアという高額飲食店を集めたエリアの3階フロアに上がると、喚起の悪さを曝け出しているのか店外でも油の臭いを感じます。夜のコースが9450円から1万5750円までの5コースと立派な高額天麩羅店なのですが、カウンター席よりテーブル席が多いのはいかがなものか。鮨もそうですが天麩羅も出来たてを食べたいもの。カウンターより客を多く詰め込めるテーブル席を主体にして売り上げ増を狙ったのでしょうが、「つな八」のような廉価な店ではなく、客単価1万円以上の「高額店」です。拘りを捨てて拝金主義に奔っていいのでしょうか。コース設定もおかしい。9450円には天丼などご飯物がない。1万2600円には海老、魚、野菜といった通常のコースの他、海老と野菜だけのコースがあります。海老が2尾あるとはいえ野菜だけのコースで1万2600円とはいい商売しています。1万3650円コースには刺身がつくが、最高の1万5750円はタネが違うからか刺身がついていません。最高額コースを好む接待族には、追加で刺身を頼ませて売り上げ増を狙う高等戦略でしょう。
では料理はというと、店側の狙いにはまって最高額コースに追加で頼んだカツオの刺身に後悔。肝心の天麩羅もタネ質普通で揚げの技術も低いものでした。最初の海老の頭でさえカラッと上がっていないのですから他のタネも追って知るべし。メゴチ、稚鮎、伏見唐辛子といったレアタネもがっかりでした。揚げ職人は2名、見た目で判断してはいけませんが、経験を積んだ人にはとても見えない若い人。ホールスタッフの対応も悪く、客が少ない夕方なのに頼んだ物がタイムリーに運ばれませんでした。支店を出すには教育不足というかまったくの人材不足。ワインなど酒類の値付けも高く、支払額をみてあまりのCPの悪さに唖然としました。本店出身「楽亭」のコースは、もっと質の高い刺身(4000円)を追加しても1万6000円ですから、「山の上 Roppongi」のCPの悪さが際立ちます。再開発地への安易な出店、わざわざ行く必要はないでしょう。