「ザイテン」という雑誌の要請で訪問してしまったフレンチ。でも訪問する前に結果はわかっていたというか、予想通りの食後感でありました。
まず場所からしてマイナー感がたっぷり。日本橋といえば地方の人にはお江戸の中心かと聞こえが良いかもしれませんが、友里が知る限り有名高額店は存在していないのではないか。
立地も立地なら、フロア階も問題。このホテルダイニングは37階に位置しているのですが、友里は欧米の中心地へ行ったことがある読者に問いたい。
高級レストランで高層階に位置している店を見たことがあるか
マンハッタンのミドル&アッパー地区やパリの中心部のミシュラン星付き店はじめ高級レストラン、そのほとんどはグランドフロア(日本でいう1階)にあるんですね。
真の高級レストランは雰囲気と料理、そしてサービスに重点を置いているからでして、日本のように電飾まみれの夜景なんて現地の富裕層や食通には何の感心もないからであります。
そんな37階、電飾夜景がよく見える「なんちゃって高級フレンチ」がシェフとして招いたのが、なぜかエノテーカ・ピンキオーリというイタリアンでの経歴(フィレンツェ本店と今はなき東京店)を最大のウリにしている南仏生まれのフランス人であります。
果たして初訪問での結論、先に言わせていただくと
タダ飯(接待)でも時間の無駄で行ってはいけない
アラカルトもありましたが、コースとかなり被っていたので我々は最高値の2万円コースを選択しました。
アミューズは蛙のミンチのオレンジ風味泡仕立て。でもこの泡仕立て、現在は廃れ気味ではないか。
伊勢エビのタルタルは、なめろうのようなネバネバ感で気持ちが悪い。
地鶏卵黄のポッシェはレンズ豆のムースとトリュフに加えてベーコンの粉までかけた味濃い一品。和風出汁のような変な後味も感じてしまった。
フォアグラ料理は2種の調理での提供でしたが、カルダモンが強すぎ。
魚料理はキンキのローストとメートルが説明していたけど、どう見てもポワレ。
帰宅後HPのメニューでポワレと確認したのですが、この店はローストとポワレの区別がつかないようです。
赤城和牛のロースト(これはポワレではない)は、上に乗せた粒マスタードや添えられた京人参との盛り合わせ(彩りも)が不気味。見た目どころか実際の味も不味くてとても完食出来るレベルではなかった。
腕がないのにカルダモンやフェンネルなど今流行のスパイスや香草を無理につかった似非モダンフレンチと判断。
ワインの値付けが高いのでワンペアリング(5種で1万2000円)を頼みましたが、白ワインはアルザスやローヌ、トカイといった安くて不味いものだけでCP悪すぎです。
イタリアン修業のシェフがいるフレンチに美味いものなし
今回の訪問で新しい定説を考えつきました。