何度行っても博多鮨に満足、鮨安吉

友里は関西に生息する自称江戸前鮨を以前から否定しております。
東京に「ほんまもんの京料理」がほとんど存在していないように、関西に江戸前のまともな鮨なんかあるはずがないではありませんか。

しかも関西の自称江戸前鮨店の主人達、お江戸どころか他店(勿論江戸前鮨)でも修業経験がないことを堂々と自慢している人が多いのであります。

自己流鮨職人としては全国に60人以上の弟子を持っていると言われる新津武昭氏(昔の銀座「きよ田」の雇われ主人)が有名ですが、それはバブル時期の味わからない老齢財界人が支えたおかげ。
今のお江戸では、修業のなさを訴えている店は、評価や注目度が埋没気味な「鮨なかむら」や「さわ田」くらいではないでしょうか。

修業歴がなくてもまともな江戸前鮨を出していれば問題はないのですが、これらの店の過半が、経験不足(お江戸の鮨を経験していない)関西人につけ込んでいるだけの「なんちゃって江戸前鮨」。
極端に例えれば、パリやマンハッタンで日本に行ったことがないどころか、和食の修行をしたことがないフランス人やアメリカ人が造る和食にまともなものがあるはずがないのと同じ理屈であります。

そんな修行歴が不透明な店の中で、友里がまともな鮨屋だと感じて来博の度に訪問を試みているのがこの「鮨安吉」であります。

鮨 安吉

 

一人客は入店できなくなったとの誤情報(実際は大丈夫らしい)で芦屋から食べ仲間を呼んで訪問したのは1月の終わりでありました。

まずは鱈の白子(茹で)でスタート。
続く鰤のヅケ、最近はお江戸の鮨屋でも見られるタネですが、こちらの方に軍配。目の前で藁燻した〆鯖は普通でしたが、続く鯖の棒寿司は美味しかった。
穴子の焼き物(茹でずに生からの半焼き)には疑問でありましたが、カワハギ肝和え、ノレソレ、ナマコとまずまず。アン肝や牡蠣、唐墨(あっさり味)とツマミのほとんどに満足したのであります。

握りは2種の酢飯を使用。中トロなどには赤酢のみの酢飯を会わせるなどその拘りが友里には理解できなかったけど、鯛の昆布〆、煮ハマ、ヅケ、玉子など一見江戸前に見える握り(産地は九州が主体)はいずれもお江戸の高額鮨屋と比較しても上レベルと感心したのであります。

ビールにシャンパン、それに日本酒とかなり飲んでの支払いが1名当たり2万円チョイ。ツマミと握りだけだと1万5000円くらいとかなりのお値打ち価格設定にあらためて感心してしまった。

関西のなんちゃって江戸前鮨屋とは雲泥の差の食後感。
「関西のなんちゃって鮨職人は博多で修業をやり直せ」、この提言で〆とさせていただきます。