熟成肉としては深みのない肉、ワカヌイ

週刊文春に極めて好意的に紹介された話題のステーキハウスに行ってみないかと知人から誘われたのは昨秋のこと。アメリカでは当たり前ですが、日本では最近やっと知られてきたドライエイジングビーフ(早い話が数週間風を当てて熟成させた肉)を全面に出している店。
サシたっぷりの和牛が苦手で大の赤身好きの友里がその誘いにすぐ飛びついたのは言うまでもありません。ウリはニュージーランド産1キロの骨付きリブアイだとのことで、まずは男性4名で訪問したのであります。

内装はオープンキッチンタイプのダイニング調。レセプション付近にはこれ見よがしなガラス張りの熟成庫がデンと構えておりました。

肉をたっぷり食べるには野菜も必須とまずはバーニャカウダ(1600円)を注文。野菜の量が少なく肝心のバーニャカウダ(ソースみたいなもの)も緩すぎ。アンチョビも少ないのか塩味も足りない。期待が一気に萎んだ瞬間であります。

牛肉のリエット(価格失念)、豚ではなく牛を無理に使う必要があったのか。これまたダメ出しでありました。
サーモンの温燻製(1600円)はほとんど生のような状態で、味的にも友里の嗜好には合わなかった。

前菜系がイマイチでも、メインのステーキが良ければと期待の中登場した1キロのリブアイ(8800円)。
ところで牛肉をエイジングする理由は何なのか。それは魚と同じく、タンパク質が分解されて出てくるアミノ酸によって旨みが増すからだそうですが、果たしてワカヌイの自称エイジングビーフ、ほとんどその旨み(熟成感)を感じなかったのであります。
世界一のステーキハウスと賞賛されているニューヨークのピータールーガーはじめアメリカで何店かエイジングビーフの経験を積んでいる友里、これほどまでに熟成感ない

自称エイジングビーフ

に出くわしたのは初めてでありました。またステーキに定番のベイクドポテトがないのも問題です。

続いて頼んだ牧草牛フィレ250g(3200円)も熟成感がなかったですが、こちらの方が未だマシか。割高感あるリストからのニュージーランド産ワインも後押ししての一人当たりの支払いは1万円台半ばに達してしまったのであります。

これは何かも間違いかと、年末までに2回も再訪を繰り返しましたが、残念ながら熟成感あるステーキには巡り会えなかった。
3回目の訪問では、弊社社員(本業)を連れて行ったのですが、

ルースクリスの方が美味しいからまた行きたい

とせがまれたことを最後に報告させていただきます。