長くミシュラン三つ星をキープしているアルザス地方はイルハーゼンにあるオーベルジュ。アルザスはかなり広いようで、ストラスブール空港から車を飛ばして1時間近くかかってしまいました。
訪問前は、一般のオーベルジュ(宿泊施設とレストランが同じ建屋)だと思っていたのですが、実際は別棟でありまして、宿泊の建屋は奥の別棟の「オテル デ ベルジュ」となっておりました。
地方の宿泊施設内レストランとはまったく異なる外観に内装。高級感が漂い、客席は4つのホールに区切られキャパは50名以上ある思われる立派な「グランメゾン」であったのです。周囲はまったくの田園地帯なのですが、この建屋だけは別世界であったのです。
かなり辺鄙な地なので最初で最後の訪問と覚悟した友里、有名なスペシャリテを制覇しようとデギュスタシオンコースを見たのですが、肝心のスペシャリテが1つも入っていないのにビックリ。メートルに確認したところ、スペシャリテは重い料理なので何皿も食べられないからとのこと。よって無謀とは思ったのですが、単品注文でスペシャリテ制覇を試みました。
まずはパテ アンクルート。トリュフ風味を感じましたが思ったより重くはなく美味しい。
続いてはグルヌイユのムース。見た目と違ってかなり塩が強く添えられたほうれん草を食べないと厳しいものでありました。最近は時代遅れの感がでてきましたが、ソースなし&低温ローストの料理(カンテサンスが代表格)とは対極をなすオーソドックスな料理であります。
鮭のスフレもパイ包みでソースはブールブランのようにかなり濃厚。ただ肝心の鮭がちょっと生臭く感じてしまった。
そして単なるトリュフの丸揚げだと思ったスペシャリテは、なんと中にフォアグラがたっぷり入っていてソースはペリグーソース。ポルト酒もかなり注入されているようでこれまた濃厚な一皿であったのです。
確かにこのようなスペシャリテ、2皿以上を楽しむのは非常につらい。4人の訪問で数あるスペシャリテを分け合うのが、極東の島国から初めてきたお上りさんにとって最良のオーダーであると考えます。
折角なのでワインはアルザスものが良いと思いますが、ブルゴーニュやボルドーの赤ワインはニーズがないからか古酒含め値付けが異常に安い。
季節感ある料理がスペシャリテにはないですが、ワイン好き含め話のタネにパリから1泊覚悟で訪問してもよい3つ星レストラン。出来れば隣接のホテルに泊まるのが一番です。