2つ星の時の方が良かったかも、ギィ・サヴォア

今回のパリ滞在中のディナーのハイライトがこの3つ星「ギィ・サヴォア」。
90年代からすぐにでも3つ星になると言われながら長く2つ星に甘んじて21世紀にやっと3つ星になった遅咲き店であります。

「性格の悪い料理人の店に上手いものなし」の定説を掲げる友里、唯一の例外として今は湘南の地で釣り人として静かに暮らすと漏れ聞く今は亡き恵比寿の「ル・レストラン・ドゥ・レトワール」のオーナーシェフ・三鴨氏の修業店としてこの店は有名でありまして、15年前の2つ星時代に友里も訪問しておりました。

今回の訪問では、その三鴨シェフのスペシャリテとして「性格は嫌いだがこの料理は本当に美味しい」と常連たちに言わしめた野兎のロワイヤル仕立てを食することが目的でありました。

ギイ サヴォア

 

こんなに大箱で豪華だったかと驚く内装。メートルやソムリエも高給取り然としておりまして、さすが3つ星と感心したのであります。コースもありましたが、我々はアラカルトを選択しました。

まずは牡蠣の冷&温の前菜2種(60ユーロ)。

冷製牡蠣

カリフラワークリームと塩水味のジュレの冷菜とオニオンブイヨンベースの温菜とも普通味か。特に冷菜は今時どこにでもあるレベルでありました。

スペシャリテのカラーズキャビア(130ユーロ)は養殖キャビアにサバイヨンをベースにしたキャビアの出汁をかけたもの。でもサバイヨンが酸っぱすぎてこれまたイマイチでありました。

カラーズ キャビア

 

大人気のアーティチョークのスープ(92ユーロ)は万人ウケしないけどまずまずか。添えられたブリオッシュがこの日一番美味しいと感じました。

アーティショーのスープ

 

そしていよいよメイン、野兎のロワイヤル(95ユーロ)の登場です。
ところがこの皿の盛りつけを見て友里、椅子から転げ落ちそうになったのです。一般に、野兎肉はバロティーヌ仕立て(中にフォアグラなど詰め物をする)にするのですが、ここの野兎肉はなんとコンビーフ状態。見た目ほぐし肉なんですね。

ほぐし肉タイプのリエーブル ロワイヤル

ソースはトリュフやフォアグラがベースと言っておりましたが、色濃い割にツメは緩くまったくの凡庸味。
弟子の三鴨氏の方が遙かに美味しいというか、ここ数年食べ続けた「ブリストル」のロワイヤルにも軍配を上げざるを得なかったと完全な期待はずれとなったのであります。

ワインも古いものはボルドー、ブルゴーニュとも少なく残念。15年前に61年ボルドーで感激した友里の夢よもう一度はありませんでした。
リストからやっとみつけた古酒が、’47 ポマール リュジアン M.ゴーヌーでありました。

’47 ゴーヌー

 

東京だけではなく本場のパリでも3つ星よりビストロの方が魅力的になってしまったのか。友里、次回の訪問から、ビストロ系だけに絞ることを決意したのであります。