特徴のない料理だが繁盛している、エスペリア

西麻布に2年前オープンした一軒屋風イタリアン「クリニカ ガストロノミカ エスペリア」。瞬く間に繁盛店になりました。カウンター6席にテーブル席が8卓ほどの店内は、ランチ時連日満席であります。前菜がサラダでパスタが色々選べるコースが1300円。前菜もメニューから選べる1800円コースもありますが、メインまである3000円コースは必要ないでしょう。スーパーマリオに似た風貌のシェフは「チーズ騎士」の称号を持っているそうで、ウリは「サラダ革命」なる前菜。ゴルゴンゾーラをベースにした温かめのソースを野菜にかけただけのもので、高カロリーだがまったく「革命的」な皿とは思えません。完全な「名前負け」です。パスタは定番の他今月のパスタとして2種が用意されています。チーズ、赤唐辛子、野菜、魚介など種類は多いのですが、肝心の麺がベンガシーネやフェデリーニといった細麺にショートが1種と選択肢がありません。太麺がないので、ラグー系もあまり見当たらない。創作系の各種パスタはわかりやすい味ということで「パスタの美味しい店」として近隣では評判です。しかしコースにでる自家製フォカッチャは美味しい。「サラダ革命」より野菜が多そうな普通のサラダと選択パスタの1300円がこの店のランチではおススメです。
夜はアラカルトもありますがプリフィクスコース(5000円)が良いでしょう。前菜盛り合わせ(これは造り置き)の次に、前菜、パスタ、メインをメニューからチョイスできます。この皿数で5000円はお得でしょうか。反対にお任せコース(7000円)は避けるべきです。前菜4皿にパスタ、メインとまったく選択の余地なし。食材や調理法を選べず特徴のない料理を食べるほど辛いことはありません。
ワインは種類がないですが、サルディーニャやシチリアのハウスワインがボトルで4000円台。この店では、この値付けも安いワインで充分です。わかりやすい味、高くない支払い、と普段使いの店としてなら充分、ただし遠方から訪問する店ではないでしょう。最後に二言。2階の貸切個室は現状のスタッフ数では営業は無謀です。まともなサービスが出来ません。また客単価1万円の夜でも皿毎にカトラリーを交換しないのもいかがなものでしょうか。