膨張著しい「かねさかグループ」の新店、鮨かねさか パレスホテル

グループ店の一員が「もうどうにも止まらない」と自嘲気味に語っていた「鮨かねさか」の多店舗展開戦略。その勢いはとどまることを知りません。
今なお不動産バブルで好景気のシンガポールにはラッフルズホテル内だけではなく、かなり大箱レストランにも鮨コーナーを出したとか。日本国内でも軽井沢(期間限定)へも進出、ついにこの5月にはグランドオープンした新パレスホテルにも出店してしまいました。

修業先だった「久兵衛」のようにならないか(膨張しすぎで銀行管理→身売り)、人ごとながら心配であります。
とはいえパレスホテルはオークラなどと同様、お年寄り層に人気があるホテル。「かねさか」ファンだけではなく、新たにパレスホテルファンも開拓できると踏んだのでありましょう。

またバンケットで需要がある屋台寿司も大きな利益源になることでしょう。。
この屋台寿司、店で出すタネ質とはまったく異なる(はっきり言うと冷凍や養殖物などまったく別物)ため利益率がもの凄いと漏れ聞いております。

さてこのホテル鮨屋、街中と違って賃料など固定費が跳ね上がるはずでCPが劣化するのは誰でも予想されること。
その他、今回の訪問で普通の鮨屋には絶対に存在しないダークスーツのスタッフを確認してしまいました。鮨屋は普通、給料の安い若い衆だけでやりくりしますから、余分な経費が発生してしまいます。

肝心の鮨ですが、任された主人(グループ店の「真魚」で数ヶ月働いていた)の好みなのか生姜、煮きり、酢飯とグループ他店よりやや甘め。確認したところ各店で味付けはある程度自由に任されているそうです。

真子鰈、シャコ、鮑、鰹、トリガイとまずまず。アン肝は「真魚」と違って成形されたもので甘めでしたがこれまた悪くありません。その他ノドグロの焼き物、生クチコ、バチコ、キンキなどツマミは豊富で酒飲みには有り難かった。

握りに移ってもダメ出しするものはほとんどなかった。
鯖に乗せた昆布が甘く、カスゴはオボロを挟むなど主人の好みが出ていましたが、いずれも許容範囲内。
ただしビールに日本酒飲んでの支払いが一人2万円台後半と、グループ他店より数千円高い請求だったのは場所柄仕方がないことかもしれません。

「かねさか」という鮨屋の存在を知らないカップル客もいただけに、ご祝儀期間が過ぎた後、年が明けてからが本当の勝負所となるでしょう。