六本木にあった「まっくろう」という洋食屋をご存知でしょうか。箸を用意し〆はご飯物を出すフレンチ風お任せコース料理と接客を担当するマダムがウリでありました。芸能人や業界人に遭遇できる店だったのですが、数年前に閉店してしまいました。しかし、この店が実はシェフの個人店ではなく、あの「ウシオ電機」の子会社系列だったことはあまり知られていません。芸能人や業界人の他、男性客が多かったのは親会社の接待だったのかもしれません。
その「まっくろう」に居た人をシェフに頂き、西麻布では飲食店不毛として有名なビル地下にこの夏出店してきたのが「maqereau」です。
テナントが入っているより空室の期間の方が多いこのビル地下ですが、オープン1年経たず撤退したフレンチ後にすぐ内装工事をしていたのでチェックしていたのです。オープン日にでていた花の贈り主が江川卓氏とアーネスト・ジンガー氏。江川氏の名前を見て芸能人向けの店と即判断、店名を確認して納得したのです。ワインはジンガー氏(大橋巨泉の娘婿のはず)の会社「ミレジム」からの仕入でしょうか。
客筋は変わらないようで、知人が行った時はアイドルタレントや昔世間を騒がせた女性TVプロデューサーが居たそうです。卓上の箸も健在。アラカルトとコースのメニューは、いずれも価格の明記がないのもこの手の店のお約束です。一般人にとって不明瞭で不親切。コースは1万8000円前後、アラカルトはポーションが小さい前菜を4皿選び、豚、牛、若鶏、仔羊からメイン1品選んで1万5000円前後とのこと。ワインも客層に合わせてか値付けが高い。シャンパーニュのクオーター瓶が3500円でしたがこの価格では街の店でフルボトルが買えるというものです。コースはオスと比べて相当安い甲箱蟹、ジュレの中にほとんど確認できないキャビア、貧弱なオマール、フォアグラ、鮑、米沢牛と質や調理はさておき味のわからない業界人や芸能人が喜ぶアイテムが満載です。シャンパーニュ、高すぎるグラスワイン白(2200円)にこの店では安めの赤ワインをボトルで頼んで一人3万円前後は、あまりに高いというもの。1年で一番予約が取りにくいクリスマスの週末でも当日夕方に予約が入ったとの知人の報告に納得した次第です。