グランメゾンにしてはあまりに悲惨な立地、ラ・フィネス

新橋に週休2日、従業員全員が厚生年金加入という飲食店業界としては画期的な厚遇のグランメゾンが出来たと聞いた友里、早速突入したのは言うまでもありません。

場所は新橋烏森口から徒歩10分くらい。居酒屋や立ち飲み店を横目に、こんな場所に客単価が軽く2万円を突破するフレンチがあるのか(いや存在できるのか)と不安を抱いて目的地に着いた我々は、このレストランが入っている建屋を見て驚いたのであります。

居住部と併用のこの商業ビル、普請が決して高いとは思えない。(HPをチェックするとレジデンス分譲価格が1割ほどディスカウント)
表には如何にも客入りが悪いと思われる廉価な中華や韓国料理、ダイニングの派手な看板が目立ちます。カフェや東北の郷土料理屋まであるビルに、果たしてグランメゾンが似合うものなのか。不安を抱きながらドア(店は地下)を開けた友里、周辺とは別世界の豪華な内装にまた驚いたのであります。

レセプション(レジ台みたいに小さい)にウエーティング、そして個室まで完備し、天井も高く見た目は本当にグランメゾン。
ワイングラスもリーデルの最高級品でデカンタも高そうなものばかりでありました。漏れ聞くところ開業資金は優に1億円を超えたとか。環境(入っているビルも)とかけ離れた高級感に違和感を覚えるのは友里だけではないでしょう。

さて肝心の料理ですが、グランメゾンを標榜している割にアラカルト対応なしなど残念な限り。内装や厚生年金にコストがかかり、厨房スタッフを多く採用できなかったのか。我々は強気の値付けから、最高値2万2000円コースを選びました。

まずアミューズ数種を食して塩気が強すぎる調理にビックリ。酒飲みの友里でもかなり厳しい。
お仕着せの前菜は蛙のフリット。ソースやクーリの塩気が肉の味を吹っ飛ばしておりました。鴨フォアグラに添えられたコンソメ、これほど塩気の強いものは初めてでして、濃厚なフォアグラと合わせると一気に胸焼けしてしまいました。
アルザス出身シェフなのにメインはなぜか仔牛のロッシーニ。フォアグラをダブらせるのは構成のミスではないか。ペリグ-ソースもうまさを感じず塩気しか印象に残らなかった。
ワインはブルゴーニュが若いものしかなく、90年のボルドーが高かったからか支払いは2名で10万円を突破してしまいました。

翌日の血圧を気にしながら店を出て階段を上がると目の前には串焼き屋。一気に興ざめした瞬間でありました。
この地で1億円以上の投資が無駄にならないことを祈るばかりであります。