ネクタイを強要するならビールくらい用意しろ、トゥール・ダルジャン

連載をもつ財界展望の取材で久々に訪問したニューオータニのトゥール・ダルジャン。驚いたのは予想外の盛況さだけではありません。
電話予約時に伝えられたドレスコード、「ネクタイ着用」を念押しされてしまった。巷は夏の節電の是非で喧々囂々だというのに、省エネ&クールビズに真っ向逆らうこの営業姿勢に驚いたのであります。NYやパリなどへ年に何回か訪問している友里、たとえ超高級店といえどもネクタイを締めていった記憶がこの10年近くありません。
ネクタイ強要なんて、日本広しとはいえども洋食レベルの料理しかない交詢社食堂くらいではないか。つまらないドレスコードに拘っている反面、グランメゾンンに不適切なトートバッグ(バケツ型)を肩からさげる女性客を許容しているのですから呆れます。

久々に通った無意味に長い廊下のアプローチ。レセプション近くに、観光スポットの粉もの屋や焼肉屋にお約束の有名人サインが健在でありました。こんなものを後生大事に飾っているのにネクタイ強要、矛盾であります。

怒りはウエーティングで更に増大しました。慣れないネクタイ着用で蒸し暑さを感じているというのに、この店は未だにビールを置いていないのです。あの「アピシウス」でさえ、かなり前からビールを提供するようになりました。他のグランメゾンンも扱っているはず。
ビールはどんなに高く値付けても1000円前後。ビールを飲まれたら値付けの高いグラスシャンパンは売れないとのセコい考えなのでしょうか。
しかも1杯2700円のこの店のグラスシャンパン、それだけでボトルの仕入れ値に近いと思うのですが、前日の抜栓なのか気が抜けていて泡がたたない不味いものでありました。ビールを排他するなら、せめてまともなシャンパンを用意しろ!

さて肝心の料理。前菜のフォアグラ三皇帝(8800円)は鵞鳥ものであまりに濃厚すぎ。合わせて出てきたソーテルヌ(甘口ワイン)はスディロー(高くないソーテルヌ)のしかもセカンドもの。これで1杯2700円は高過ぎというものです。

しかしメインの鴨料理はちょっと見直したかも。トゥール・ダルジャン風というサルミソースを使ったものでしたが、以前より軽く感じたのです。といっても絶品にはほど遠くかなりのポーションを何とか食べきれたのであります。
ただし皿出しがすごく遅かったので、二皿目の腿グリルとサラダは食べきれなかった。

ワイン含めてCPをまったく考えず、ニューオータニの部屋(ここの予約で喜ぶ女性は少ないでしょう)をキープして連れとのアフターを考えている男性にだけオススメです。