恵比寿に京都は「祇園丸山」出身の和食がオープンしたと聞いたのは昨年末。京料理不毛の東京でどのような料理を出すのか興味が沸きすぐさま訪問したのは言うまでもありません。
年末の接待だったので奥の個室を利用。当初は1万2000円コースにしていたのですが、更に上の1万6000円があると知って当日急遽変更。この時期は和食に限らず食材の当たり時期。コッペやフグ白子焼きが出ると聞いてチャレンジしたくなったのであります。
ホタテ薫製や焼き蕪の先付でまずまずのスタート。続くきく芋唐揚げやさい巻きの揚げ物は美味しかった。八寸もなんとか満足し、お椀は下仁田葱と牡蠣。吸い地は予想以上に味濃かったけど許容範囲か。兄弟子の「祇園末友」のような傑出した出汁を期待するのは酷だったかもしれません。
造りは普通でこの時期お約束の蕪蒸しも万人にウケるちょい濃いめ。マナガツオの飯蒸しのあと本日のメインであるコッペの登場です。朴葉焼きという調理も悪くはないけど質良いならシンプルにそのまま食べたかった。
そしてこの店の特徴である珍味群の登場です。主人は日本酒に凝っているようで、料理に合わせて次々と珍しいお酒をだしてくれるのですが、白子焼き含む種類が多い珍味で更に酒量が増えてしまいました。
その後ノドグロの煮おろしの後土鍋の白飯で〆となったのであります。 個室でかなり日本酒を飲んでの支払いは一人2万4000円弱。クラシックではない味濃いめの創作系京料理ですが、再訪可の食後感で店を後にしたのであります。
再訪は今年4月。同じく接待利用でしたが、今回はケチって1万円コース。増殖する1万円和食店との比較をしたかったからであります。
結論から言わせていただくと、ここではカウンター接待でケチって安いコースを頼んではダメ。大阪の「本湖月」(1万5000円から2万5000円まで使用食材や調理がほとんど同じ)ほど極端ではなくても普通は隣客とそれほどコース価格の差を感じず過ごせるもの。
ところがこの店は、目の前で1万円コースには出ない筍、ノドグロ、伊勢エビなどを堂々と接待客の目の前で調理してきますから、接待元としてはかなり立場が拙くなるのです。
逆にいますと他のカウンター客は高額コースばかり。予算をケチったことが客に丸わかりとなり、折角の接待効果が半減してしまったのであります。
この日の支払いは一人1万3000円ほど。1万円の節約で失ったものは大きかったかもしれません。