高すぎる店を支える常連の存在が不思議、登龍

麻布十番に2000円餃子(5ケ)がウリの高額中国料理店があると聞いた友里。興味を持って調べてみたら「なんだ、あの見た目街場の“中華”じゃないか」と驚いたのであります。
安普請とは言いませんが、見た目からここ何十年も前を通りながら入店をためらった店構え。まずは身内を連れて昼にお試しで飛び込んだのであります。

ランチメニューもありましたが我々は単品注文。まずはその餃子であります。
わずか5ケで2000円とは一般と比べて5倍以上の値付けではないか。口に含んでみると春雨の食感が珍しいだけの、ニンニク不含で肉の旨みも感じないもの。これなら大きさを5倍にしてもらわないと割が合わないではないか。

車エビのチリソース(4500円)も驚きの値付けですが、海老が9尾と数はありピリ辛でかろうじてまずまず。空心菜の塩炒め(2500円)は添加物が入っているかのような濃い味わいでありました。
酸辣湯麺(2800円)は辛みと酸味がまずまずで量も多く、割高ですがかろうじて満足したのであります。
2名で瓶ビールに老酒2合で支払いは16000円。銀座の有名中国料理店以上の請求に驚いて店を後にしました。

夜に高級食材を試そうと訪問したのは4月下旬。棒々鶏、クラゲ、ピータンの前菜盛合せ(3000円)は凡庸。
フカヒレの紅焼姿煮(1万2000円)はとろみと味が強く好みではなかった。車エビ四川甘辛炒め(4500円)は唐辛子が丸ごと入っていましたがまったく辛くない。
茄子と挽肉の炒め(2800円)は甘過ぎで、麻婆豆腐(2000円)も日本風味付けで痺れなし。辛さはあるけど花椒をケチっているのかニンニク味が目立つだけでした。
四川皇麺(担々麺1800円)は濃厚なゴマだれ味だけで辛さなくイマイチ。その他酸辣湯と餃子に、ビールと一番安い紹興酒(6500円)を2本頼んでの支払いが4万円超となったのです。

きょうび、福臨門でも派手な食材を頼まなければ充分楽しめる額なだけに、友里はあまりの値付けの高さに唖然。
昼夜とも一人客ふくめ何回転する席もあるほど盛況な登龍。良く言えば無難な和風中国料理、はっきり言わせていただくと中国料理ではなく昔「中華」と言われていたレベルの料理。

客層は「桃花林」と同じく、他の店を知らない(勿論本場の味なんて追求しない)富裕常連客が主体と読みました。中国料理界の「キャンティ」みたいな位置づけ(シーラカンス)と考えます。