飲食店の入れ替わりが激しい西麻布。通るたびに店が変わっている所もありますが、この場所も以前は麺類の店ではなかったでしょうか、「リストランテ・ダ・サリーネ」。去年の夏頃、ニーノ氏(正式にはアントニーノ氏)をシェフに迎えてオープンしたシチリア料理専門店であります。当初の正式名称はシェフの名前を入れた「レ・サリーネ・ダ・ニーノ」でした。シチリア料理に絞ったコンセプトが良かったのか、イタリアン激戦区の西麻布で集客も順調であります。私の初訪問は今春、アラカルトを頼んだにもかかわらずシチリアの拘りを感じない料理で期待はずれでした。シェフ不在かと確認すると、この4月に乃木坂でオープンする店へニーノ氏は移るので店には出ていないとの事でした。オープン半年でもう支店を出すほど儲かっているのかとその時は思ったのですが、実は半年でシェフが逃げ出したと言うのが真相のようです。いつの間にかこの西麻布の店名から「ニーノ」の文言が消えていました。そして乃木坂の店名が「リストランテ・ダ・ニーノ」。シェフ移籍は実は独立だったのです。
昼も1千円からのランチで相変わらず盛況ですが、夜の単品料理を頼むことも可能です。カポナータ(900円)はかなり味付けが緩い。シチリアの典型的な食材である鰯とフェンネルのブカティーニ(真ん中に穴の開いたパスタ)は2800円と高い割に美味しくない。その後夜に再チャレンジしましたが、食後感は変わりませんでした。定番ではなく黒板のオススメを主体に頼みましたが、前菜が千円台の割に各種パスタは2千円台とやはり高め。メインは仔羊がありましたが魚が主体で3千円はします。前菜盛り合わせ(3千円)は、タコマリネ、ライスコロッケ、ブロッコリー玉子焼きなどで期待はずれ。鰯のパン粉焼きも凡庸、魚介のラグーはソボロみたいで味にインパクトない。メインに「特別盛り合わせ」としてヤリイカ、オマール、ホウボウを薦められましたが黒板の単品をただ3種盛り込んだだけで5千円は高い。日本風にアレンジした料理に、値付けが安くないワインを頼んで一人1万円を軽く突破とこの食後感ではCP悪すぎです。シチリア専門店が増えている現在、わざわざ訪ねる店ではありません。