ある女性ブロガーの訪問記で知った四谷荒木町の店。メインで牛カツが出るコース構成と、食べログでは京味出身(修行期間は短い)というフレコミに釣られて訪問したのは昨夏のことでした。
滅多に歩かないディープ街並みにキョロキョロしながらドアを開けると、寿司屋を居抜きで借り受けたのかと思うほどキャパの小さな店内と、豪華とは言えない内装が目に飛び込んできたのです。カウンター6席に奥は個室が1つ。主人一人の対応でしたが、この日の客は我々だけだったので皿出しなどオペレーションに不満は感じませんでした。
突き出しの子持ちヤリイカ、石川小芋、銀杏、松茸などが可もなく不可もなくスタート。
舞鶴の岩牡蠣は火入れしておりましたが生で食べたかった。殻付きウニや、茄子、オクラ、タコの炊き合わせの後に出た本日のサブメインは丸鍋。中身は別にしてスープの量は多かった。
そして武州牛のカツの登場です。梅肉や山椒で食することをすすめられましたが、自分の好みよりかなりレア。〆は鯛茶で、ビールにシャンパンに冷酒を飲んでの支払いが2名で2万円台後半と、調理や質はともかく、食後感は悪くなく店を後にしたのであります。
再訪出来たのは今年になってから。この日は目ヂカラある日本美人系の女将が加わり、個室にも客が入っておりました。
スタートの鶏肉入り百合根饅頭は、餡が味濃すぎと感じましたが寒い夜だったので体が温まった。炊いたアン肝も味濃いですがお酒がすすむ一品。皮を炙ったメジに鯛と鯖の造りも、支払額を考えるとまずまず。本山葵付きでポイントアップです。
お椀のタネは淀大根に鮑と菜の花で出汁はやはり鰹が強いと感じました。海老芋とタラの芽の揚げ物に続いて出てきたのが鯛の兜煮。これでもうお腹一杯になりそうでしたが、その後にまた牛カツがでてくるではありませんか。〆の蛤ご飯で本当にお腹が一杯になったのであります。
料理は居酒屋以上高額割烹未満の位置づけの東京和食。ビールに日本酒をかなり飲んでの支払いが一人当たり1万3000円ほどでありましたから、この内容なら文句を言えるはずがありません。
人気が出ると1万5000円コースを併設して埋没した多くの店の失敗を他山の石とし、このまま1万円和食に徹し続けることを店主に望みます。