コンセプトが右往左往のオールダイニング、フレンチキッチン

このホテルのレストランはオープン当初から迷走状態ばかりではないか。
鉄板焼の「けやき坂」は、バイキングもやっていた北欧料理店からあっという間に業態変更した結果の産物。この「フレンチ キッチン ブラッセリー アンド バー」(当時の店名)も数年前はビストロ料理をメインにしたビュッフェスタイルでありました。

大人が7300円、子供は半額と普通のビストロより高いけど、野菜、ハム、前菜、オムレツ、肉、チーズ、デザートなど料理毎にステーションが分かれて食べ放題であったのです。
ハワイのリゾートホテルなどに見られる具材を指定して目の前で造るオムレツ。野菜もスティック、マリネ、シーザーなど種類があり、前菜もテリーヌ類、オイルサーディン、カルパッチョ、パテ、リエットなど充実。

肉類はフォアグラ、牛ロース、タン、仔羊、豚ロース、ホロホロ鳥、七面鳥とアイテム多く、〆としてストロガノフも用意されていました。
ワインの値付けが高く支払額を押し上げるのが残念でしたが、家族のちょっとした外食、知人家族との会食などにはもってこい、食べ盛りの小学生がいるなら更にお得感があると思い友里はリピートしていたのです。ところがこのシステムでは儲からなかったのか、いつの間にかメインの肉料理は食べ放題ではなくなり、足が遠のいていたのです。

そして昨年、久々に訪問した友里はあまりの雰囲気と業態の変化に椅子から転げ落ちそうになったのです。
金・土はバンドが入って店内は騒然。入口付近の半個室スペースでは、合コングループが騒ぎ放題で手拍子まで始まっていました。
ホールはベビーカーの持ち込みどころか幼児のハイハイまで許す無法地帯と化した様は、あらゆるコードの規制がないその名の通りオール(オッケー)ダイニングに様変わりしていたのです。

料理は「パリ14区にビストロを構えるシェフ ダヴィットを迎えて」と銘打ったフェア期間中のためかプリフィクスコースが主体。
でもパリのビストロにしては、肉料理がポトフに鴨ローストにカスレとわずか3種。前菜も5種ほどとまったく選択肢がない。
そして肝心の料理は可もなく不可もなし。次回はどんな業態に変わるのか、その節操ない迷走営業と客層の悪化だけが楽しみとなったオールダイニングであります。