あの盛況さはどこにいってしまったのか。自称文化人や芸能人もよく出入りしていたからか、当時(20年以上前)は客単価が高い洋食屋なのに行列が連日出来ておりました。ニンニク大量使用が特徴の料理が癖になり、友里もリピートを繰り返していたのです。
ウリのボルシチ、鮑のサラダ(当時で8000円くらいか)、シャリアピンステーキ(5000円くらい)が友里の定番でありましたが、どれもニンニクがてんこ盛りなのです。美味い不味いは別にして、ある意味強烈なインパクトある料理でありました。
当時の主人やマダム(爺さんと婆さん)の個性も強烈。特に一見には客を客と思わない対応が逆に更なる人気を呼んでいたのかもしれません。
転機はビル地下への移転と料理人の世代交代からか。移転してから数回訪問していましたが、急に懐かしくなって再訪したのは昨秋のこと。念のため予約をしましたが客入りは6割前後。特にカウンターには一人客が多かった。
まずは懐かしいハーフサイズのボルシチ。見た目は変わっていませんがニンニクやレモンのインパクトがない。
頼む客がいないからか、鮑を使った料理は事前予約となっていたので、野菜の盛り合わせ(1800円)をオーダー。量は多かったけど普通のマヨネーズ味でニンニクが効いていなかった。
それではと頼んだシャリアピンステーキも、8400円と価格は立派に成長しておりましたが、肉、玉葱とニンニク風味が薄過ぎる。こんな調理では、シャリアピン氏が毎日食べるには飽きてしまうのではないか。
2名だったので足りずとビースストロガノフ(5300円)を追加したのですが、普通の洋食屋と同じくツメが緩すぎ。特徴であるニンニクインパクトがないと単なる高い洋食屋ではありませんか。
検証精神旺盛な友里は今年になって鮑料理を試すために再チャレンジ。鮑サラダはなくなっており、この店でははじめてグリル(2万円)を頼んだのであります。
かなり大きな鮑でしたが、バターが強すぎるのか塩が足りずキレなく甘過ぎる。タンシチュー(5250円)もタンは3枚でしたがトマトケチャップベースみたいな煮込みでやはりインパクトなし。
主人やマダムは威圧感なく雰囲気は改善されていましたが、肝心の料理がドクを抜かれてしまった。
接客はこのままに、料理は昔に戻って威圧感ある調理に戻すことが集客に繋がる(この日は他にわずか5名)と友里は提言させていただきます。