質を塩とアン肝で隠す高額フグ店、めうが

赤坂にあった前店への訪問では、添加物を振りかけたかのような不自然に味濃いフグだと評した友里。白金高輪へ移転後の初訪問は今年はじめでありました。
ビル地下で居酒屋然としていた前店と違い、一軒家風と立派な店構え。カウンター6席、テーブル2卓に半個室らしきものもありましたが、厨房横にリフトを発見。なんと2階まである大箱店になっているではありませんか。常備された灰皿に唖然としながら、2種あるコースから高い2万9800円を選んだのです。

煮こごりは色濃くゼラチン質ばかりで皮など身が少ない。
刺身はこの店のスペシャリテというハーフ&ハーフ。何かというと、塩とポン酢それぞれに対応する刺身であります。刺身の半分には個々にモミジと葱が盛られております。芸が細かい仕事ですが、それ1つ1つに特製の塩とアン肝を乗せて食べろといわれます。塩も大量にかけて大丈夫だとか。
でもモミジ、アン肝、葱、塩の味ばかりでフグを食べている気がしません。ポン酢はたっぷり入った葱をフグ刺しですくって食べろと言われます。ポン酢にたっぷり浸されて、フグの味が消し飛んでしまいました。試しにフグ刺しを何もつけず食べましたが、まったく旨みを感じなかった。天然とのお題目ですが、静岡産の限界でしょうか。フグがアン肝負け、塩負け、ポン酢負けしておりました。

次に出ためうが揚げとは南蛮漬けのようなもの。これまた味が濃すぎでフグの味がわからない。白子焼きは小さいものが2つ。柚塩によって完全に調味料負けしておりました。
フグの手まり寿司には白い粉がかかっており、焼きフグには赤い添加物。何気に厨房奥を見ると、昔懐かしい赤いキャップの調味料瓶があるではないですか。量の少ないちり鍋を食べ終えた後、鍋に残った出汁を味見したのですが、昆布の味しかしなかった。雑炊は当然のごとく厨房へ引き上げられ、主人は何やら2種の白い粉を投入していたような・・・

香の物も当然ながら味が濃く、〆はコンデンスミルクがかかったイチゴ。昭和の古き時代じゃないのですから、コンデンスはないでしょう。
温いヒレ酒などを飲んでの支払いが一人3万円台後半。かまやつひろしが2階へ上がっていったのを確認し、濃い味好きの業界人専門の店とあらためて認識したのであります。