天麩羅の原価率の低さを証明している、坊野

最初に訪問したのはオープン記念という200円引きの天丼(850円→650円)に釣られた昨夏。西麻布に珍しい廉価な天麩羅屋に興味を抱いたからであります。身内が天丼、私が1260円のランチ天麩羅定食を頼んだのですが、いずれもこの価格なら充分と感じる量と内容でありました。

持ち前の検証精神で今度は夜に訪問。単品もありますが松竹梅のコース(4500円、3500円、2500円)から最高値を選択。お酒を飲む前のケアでしょうか、まずはお粥の登場です。そしてほうれん草のお浸しの後、造りとして鯛と烏賊がでてきました。添えられた山葵が混ぜ物なのはこの価格では仕方ないか。刺身も養殖でしょうがCPとしてはまずまず。
そして藻塩、焼き塩、天つゆが用意されて天麩羅が供されます。昼と違って揚げたてが都度出てくるのは高額店と変わりがない。巻き海老から始まり海老3尾、魚3種、野菜5種に掻き揚げと質はともかく内容は高額天麩羅屋と大差がありません。質も高額店の半値以下を考えると、サラダ付きですから充分ではないでしょうか。頼む人がいるかどうかわかりませんが、NVシャンパンが7820円、ビールが500円、日本酒が580円からと値付けの安い酒類を入れても予算は7000円以下で終わってしまいました。

しかし検証精神旺盛な友里はこの2回の訪問だけでは満足しない。やはり一番安い梅コース(2500円)を試すべきと年末に再び訪問したのであります。
海老は巻き海老ではなかったが、先付け、サラダ、魚3種、野菜3種に掻き揚げ(刺身はなし)に追加を数品頼んでお腹一杯となったのであります。
最安値コースでは量が足りず追加をしてしまいましたが、コースに出てこないタネも頼めるのでこの方が使い勝手が良いかもしれません。特に広島の牡蠣(400円)は大きくてなかなか美味しくオススメであります。

油がちょっと重い、天つゆが甘い、衣の姿が綺麗でないなど、欠点を挙げたらキリがないのですが、何しろそこらの高額天麩羅の半額以下。一口サイズの野菜に大きな価格差があるはずがなく、魚もキスや穴子と高級魚ではない。世の高額天麩羅の原価率が如何に低すぎるかを証明する廉価天麩羅屋「坊野」。見栄張らず支払額に充分見合った天麩羅で満足する方にはオススメの店であります。