夏の和食の主役は鱧と鮎。特に京都をはじめ関西では鱧と鮎がなければ夏は始まらないと言われていると聞きました。
最近は京ブームというか東京人の京都コンプレックスからか、東京では和食に限らずフレンチやイタリアンまで、京の食材が溢れるようになっております。この鮎でさえ、東京和食だけではなく、フレンチやイタリアンにまで登場するのですから驚きであります。そんな東京で、長年鮎を全面に出して店名にまでしているのが新橋にある「鮎正」であります。
安くはない価格設定ですが、その圧倒的な人気をネットで知り、昨年何回か訪問を繰り返したのです。でも食後感は以前と同じ。肝心の鮎より他の食材の方が魅力的でありました。
7月の「鮎正」、その人気は半端ではありません。数週間前の問い合わせでしたが、7月一杯満杯で予約が入らない。やっと決まった訪問日は8月はじめでありました。5年ほどご無沙汰だったからか、店が移転していることを知らず迷ってしまった友里、ドアを開けて店内の熱気に驚いたのであります。
カウンターはじめすべて満席。19時前に2回転目に突入する席までありました。カウンター以外はテーブル席になっていたのは有り難かった。
1万円からある鮎尽くしコース、最高値の1万5000円は突き出しを除いて、お椀、造り、塩焼き、揚げ物、珍味、〆のご飯と鮎三昧であります。
高津川の鮎、しかし焼き鮎を入れたすまし椀、背ごしの造り、塩焼きなどメイン料理に傑出したものを感じません。何とかウルカの包み揚げや鮎の焼き焦げ(頭とか尻尾など)を使った鮎ご飯は美味しかったのが救いでありました。
以前の訪問と同じく鮎尽くしには疑問でありましたが、日を変えて食べた天然スッポンコースは昨年食べたなかで最高のスッポン鍋であったのです。
珍しい天然スッポン、一般ウケするインパクトある味わいではないけど、滋味深い味わいは秀逸。血の酒割り、刺身などは別にして、この天然スッポン鍋は一食の価値ありと感じたのであります。適度に飲んで一人当たり2万数千円。他店の養殖スッポンと価格差はありませんから、ぜひ旬の初秋に味わっていただきたい。
友里は今冬、機会があれば続いて「あんこう鍋」に挑戦してみるつもりであります。