昨年11月のイタリアはアルバ旅行の最中に飛び込んできた「食中毒事件」。
拙著「絶品レストラン」(鉄人社)でも一番のオススメフグ店と紹介していた店が、肝を出して女性が食中毒を起こしたとの報道に、友里は椅子から転げ落ちそうになったのです。
美味しいフグを提供していたのに、美味くはないフグ肝を何故出したのか。禁止されているフグ肝を出すこと自体が許されないことでありますが、どうせ碌でもない常連客が執拗に要求したのだろうとの友里の予想はずばり的中でありました。
碌でもない客は東国原英夫元宮崎県知事であったのです。当人は「アン肝」を頼んだとか、「可食性のフグ肝」は九州では多々提供される、など無理な弁解をしていますが、総理大臣を目指す自称政治家、フグ肝が全国どこでも禁止され提供は違法であると言うことをご存じなかったようです。
しかし「福治」の払った代償は大きく、営業停止処分に主人のフグ免許取り消し処分も加わってしまっただけに、自業自得とはいえそのまんま東氏の罪も重いのではないか。
幸い従業員(正確には主人の娘さん)が免許を持っていたようで、12月半ばにフグ営業を再開したと聞き、早速友里は検証に訪問したのであります。知人の話ではフグ提供再開直後は満席と聞きましたが、日曜だったからか空席もあった店内。しかし、提供されたフグは前シーズンと変わりないうま味のあるものでありました。
関西の食通が好む大型フグ(5キロ以上)ではなく、この店のフグは中型のもの。しかも結構寝かせているので、更にうま味が増しているように感じます。煮こごり、唐揚げ、白子焼き、ちり鍋、雑炊と昨年と変わらない支払いで楽しんで店を後にしたのであります。
東京では一番のフグを出す店と思っていただけに違法なフグ肝提供にはレッドカードでありますが、大いに反省していただき、CP感変わらないフグを今後も提供していただきたいと考えます。
ここで友里は碌でもない客に再度言いたい。
フグの肝は、食べられるように処理したら(長時間水にさらすなど)、決して美味しいものではないと。カワハギや鮟鱇の肝の方がはるかに美味しいと言うことを認識していただきたいものです。
可食性の肝は違法でありますが、食べてもうま味なく美味しくはありません。フグ肝=美味は嘘、口が痺れたいなら歯科医で麻酔でも打って貰ってください。