近所に欲しい気軽な洋食屋、麻布食堂

TVのグルメ番組に時たま「街の巨匠」の称号で出演していた料理人の店。西麻布交差点近く、外苑西通りから近かった移転前の店は、昼夜を問わず大盛況でありました。
昼は近辺のサラリーマンやOLでカウンターは一杯。ほとんどの客がこの店の代表作であるオムライスを頼んでいたのです。ランチは夜より100円ほど安い945円で、ほかにもメンチカツ、カニコロッケ、ハンバーグとメニューは少ないながら何回転もする人気振りだったのです。 

夜も前を通る度に満席を確認していたのですが、入っていたアパートの建て替えで一時閉店を余儀なくされたのが大きな転機だったのかもしれません。
立て直すアパートに入店するとの約束があったのかシェフはしばらく悠々自適の毎日を送っていたようですが、完成時期が半年遅れたことに加え家賃交渉が難航。痺れを切らして別の場所にオープンしたのが、私の記憶では08年のことでした。
場所は前店から牛坂を上がって3ブロックほど先のビル地下。ワインバーなどが何回か閉店に追いやられた場所で、決して地の利の好いところではないのです。

果たして昼夜とも以前ほどの活況さはなくなってしまいましたが、価格は据え置きでメニューも豊富になり、かえって入店しやすくなって使い勝手は増したのであります。
移転してから初めて訪問した夜。前菜群は945円均一で、ラタトゥユ、生ハム、タコのカルパッチョ、サーモンマリネなどボリュームもあってお買い得。野菜好きの友里が必ず頼むグリーンサラダ(630円)も高額洋食屋のものより遙かにコストパフォーマンス良い。
そしてオムライス、カニコロッケ、ハンバーグなどの定番洋食料理も1260円均一で「EDOYA」と同じく財布に優しい営業姿勢で有り難かった。
定番洋食に飽きたリピータには、牛リブロース(3000円)、牛タンシチュー(2520円)、鶏もも肉と茸の香草焼(2100円)などちょっとビストロチックな料理も用意されております。 牛リブロースを試しましたが、頼んだご飯がすすんで追加でハンバーグまで頼んでしまいました。
ワインもボトルが2940円から用意されているなど良心的。赤なら冷やすことを条件に、料理と合わせて楽しめること間違いなし。厳しい立地でありますが、近所にぜひ欲しい洋食店であります。