年配客向けの郷土色ない無難な料理、プリズマ

今はすっかり埋没してしまった自称レストランジャーナリストの犬養裕美子さんが大絶賛していた広尾のイタリアン「ペルゴラ」。友里は評価していなかったのですが、そのシェフが独立して南青山に店を出したと週刊文春で知って直ぐ予約を入れてしまいました。
その動機は精力剤と見紛う店名に興味を抱いたのに加えて、文春のアラ還食味探検隊員の料理評価が19点(20点満点)と高かったからであります。

表通りからわかりにくい路地を降りるとこの店があるビルに当たるのですが、いかにも隠れ家的で業界人にはウケそうです。
オープンキッチンも広いのですが、ホールも余裕の席配置。無理すれば4名使えるテーブル(2人用)が6卓、席間も充分であります。

夜の料理はメイン(6種)デザート(5種)だけチョイスできるコース制で1万500円。イタリアンなのに何故かグラススプマンテはなく、シャンパンを飲んでアミューズを待ちました。まずはトマトのスープ(ジェラート風で一口)にイカとイカスミのスフレはフレンチみたいなテイストでありました。そして前菜が2皿続きます。

量が少ない白海老と塩水ウニのカルパッチョは、トマトと枝豆のジュレ添えで悪くはない。天然若鮎のソテーは火が入りすぎていましたが、味的にはまずまず。
フレッシュトマトのタリオーリーニも量は少ないけど万人ウケする調理でありました。黒鮑のパスタはバジリコ以外にナンプラーのような風味に疑問。箸休めなのかグラニテを挟んでメインとして選んだのが豚のローストです。
鹿児島の熟成豚で更に脂が多い部位だったからか、グリーンペッパーソースでしたがこれは友里の嗜好に大きくハズレ。添えられたサルシッチャもシューシーさがなかった。

結論は郷土色を感じないパスタを出す欧風料理店。創作イタリアンのアロマフレスカの移転前のような料理でありました。
グラスワインは白6種、赤4種と品揃えはまずまず。ワインリストは1万円前後で若いヴィンテージが主体でしかもピエモンテとトスカーナに偏ったものですが、最後のページにはシェフ秘蔵のワインがリストアップされています。レアワインもありましたから、イタリアワイン初心者には魅力的かもしれません。
イタリア郷土色に拘りのない方には再訪可の店であります。