馬肉だけが先走りしていないか、フレーゴリ

ジャンルはイタリアンだと思うのですが、今では馬肉専門店かと思うくらい馬に拘っている、恵比寿の小さな店であります。カウンターを入れて18席ほどのキャパをシェフ一人、サービス1人でカバーしていますが、銀座の「オオサコ」と違って調理の手際が良いのでしょう、客はほとんどストレスを感じず次々出てくる料理を食することが出来ます。
黒板メニューには、前菜、メイン共に「馬肉」の部位がかなり目立ちます。各種野菜、豚、鴨などの食材をあるのですが、ここまで「馬肉」が一人歩きしてしまいますと、この店で馬肉以外の食材を頼む気がしなくなります。
しゃぶしゃぶ屋で刺身だけ食べて帰る客や寿司屋で牛肉だけ食べて帰る客が居ないように、馬肉料理が売れて回転しているということは、換言すれば他の食材はあまり売れていない、つまり回転していないということです。
売れない料理より売れているものを食べたいのが人情。よって、この店では馬肉を主体に注文するしかありません。前菜には魚のマリネや野菜料理などが1500円前後でありますが、まずは馬肉のカルパッチョでしょう。2500円ほどしますが、馬のハツ、たてがみ、バラ、タン、ヒレが同時に楽しめます。和食系の馬肉専門店よりレベルが落ちるとJCオカザワは文句を言っていますが、イタリアンテイストにしてしまえば私にはこの質で充分。馬肉タルタルステーキは黒板にありませんが注文可、悪くはありません。白いんげんとトリッパの煮込み、馬のハラミの炭火焼、馬ほほ肉の赤ワイン煮などディープな料理は、全体的に塩がきつめです。ワインを飲まない方、弱い方には厳しいかもしれません。おっと、一応イタリアンですからパスタの事も書いておかねばなりません。黒板にはいくつかあり食べましたが、馬肉に隠れてまったく印象に残っていないのが残念です。3?4人の訪問で、馬肉を片っ端からシェアしまくってワインを結構飲んで一人1万数千円。ワインはリストがなく「オオサコ」と同じく半押し付け営業、頼む食材に限りがあるなどこの雰囲気のイタリアンとしては高めでありますが、抑えたキャパ、食材の特化をウリにする、ディープな味付け、と現在の繁盛店の見本となる営業。独立を考えている若き料理人にも参考になるでしょう。