四谷に予約がまったく入らない寿司屋があると聞いたのが昨秋。予約困難と聞くと何としても行きたくなるのが人情というもの。検証精神旺盛な友里は、店主の出身先を調べて更に訪問したくなったのであります。
街場寿司(客単価1万円代半ば)の範疇である伊勢丹新宿本店の「鮨魯山」は、内容の割に集客が順調。数千円お決まりを出すホールだけではなく、お好み・お任せ専門の奥のカウンターは、友里が知る限り平日でも昼時は満席であります。
銀座の高額江戸前鮨に比べるとかなりランクが落ちるタネ質と江戸前仕事ですが、都心の有名高額店を知らない伊勢丹セレブに支えられているのでしょう。その店長だった人の独立店がこの「鮨三谷」。数ヶ月待って昼に訪問できたのは今年はじめでありました。
ツマミと握りをオススメワイン(グラス対応)で食するのがこの店のスタイル。
まずは白魚のカワハギ肝合え。実際は肝で〆ているようですが、確かに肝は美味しいけど味強すぎて白魚の味わからず。
シャンパンで〆てから更に昆布で〆たという鮃も昆布が強かった。水だけで蒸したという鮑や越前蟹とバチコなど、出身店の店名ゆかりの大味好きな魯山人が涙を流して喜ぶ味濃いツマミの連続。
氷見のトロ鯖には唐墨とキャビア、真鱈の白子(小柱のスープ仕立て)にはトリュフ塩、アン肝は穴子で撒く、と江戸前とは異質の一仕事がしてあるツマミで、ワインや日本酒が進んだのです。
握りは主人から手渡しで供されます。古米使用という酢飯は特徴なし。コハダや穴子、赤貝とツマミに比べて驚くものはなかったのですが、最後の巻物にビックリ。干瓢巻きの中身半分が揚げ稲荷でありました。
昼でも結構飲んでの支払いが一人2万5000円前後に連れが気をよくして帰り際に夜の予約をしようとして私は椅子から転げ落ちそうになりました。なんと次回は8ヶ月先しか入らないというのです。
かくしてこの9月に再訪した友里、赤ウニにベルーガ、赤ムツにコノコ、筋子や穴子に唐墨など更にパワーアップ(珍味の大味)したツマミを確認し、握りでは半生バチコまで食してしまったのであります。
前回より更に飲んで味濃いツマミタネを食べての支払いが3万円。帰り際次回の予約を入れたら何と11ヶ月先の来年8月。世界一予約が取りにくく味濃いツマミを出す寿司屋であります。