高評価は幻想だった、ブーケ ド フランス

食べログはじめネットの評判が高い六本木のフレンチ。友里掲示板でも「美味しい」とオススメ書き込みを見て初めて訪問したのは一昨年でありました。
当時あった9000円ほどのコースは、パテ、フォアグラ、アーティチョーク、ブーダンノワール、メインの豚料理とまったく記憶に残らないもの。個性豊かなマダムの接客だけが印象的でした。はっきり言えば不自然で気色悪い接客。このマダム、男性客を「殿」、女性客を「姫」と呼ぶんですね。赤坂の「ニンジャ」へ来たかと思ってしまいました。今どきこんな軽口がフレンチでウケると思っているのか。

巷の評判と自分の食後感があまりに乖離していたので再確認するまでは評価を封印することを決意。今年の夏にやっと再訪したのでこのコラムに掲載することが出来ました。

今回はアラカルトにチャレンジ。色々野菜のエチュベ(2400円)は濃い味マリネでありました。パテ(2400円)は可もなく不可もなし。
夏牡蠣(2700円)は、ジュレのコンソメが魚系ではなくビーフ味がミスマッチに感じ、ジャンボン(ハム)、ブーダンノワールも傑出さを感じず普通味。よって最後のメイン料理に我々は賭けたのであります。

バベットステーキ(2600円)、ビストロ料理の定番ですが、このハラミ肉も「うしごろ」と同じく内臓肉のうま味を感じないもの。豚料理が得意と言われるこの店の餅豚ポワレ(3200円)も豚のうま味ではないものを感じてしまいました。
そしてこの日のお目当て、アンドゥイエット(3000円)も臭みはあったけど印象に残るものを感じなかったのです。

メインの3皿、肉種や部位、そして調理法が違うのですが、味のトーンがまったく同じなのも気になるところ。肉の味が薄いから化粧(味付け)を濃くしているのでしょうが、美味しくないのです。
厨房のスタッフ数の制限で調理に手間をかけられないのかもしれませんが、それなら料理数を限定するなど身の丈に合った料理にするべき。白金の「ルカンケ」も厨房スタッフは少ないけどより手の込んだ調理をしているだけに、結構な価格設定のこの店の営業方針に疑問をもったのであります。
最初からこのような調理だったのか、ここ数年でクオリティが落ちたのかわかりませんが、過大評価の1店であることは間違いありません。