食べログ評価とは違い価格なりの食後感、都寿司

この原稿を書いている段階で、東京のレストラン全ジャンルで食べログ第3位の高評価。勿論寿司屋部門ではトップにランクされております。

今春出版関係者から評判を聞いて早速予約を入れたのですが、訪問できたのは一ヶ月後の初夏でありました。一ヶ月先の予約でも20時30分に食べ終えてくれとの条件で入店したのは18時30分。この店は連日2回転以上させる超人気店であったのです。
壁には「握りコース8000円、お任せ1万1000円」と料金がはっきり張り出している明朗会計が特徴の寿司屋であります。

お任せでまずはツマミから。ワラビのお浸し、真子鰈、アン肝と価格なりにまずまずで、煮タコやタイラガイの味噌漬けは悪くはなかった。ただしサワラの焼き物はイマイチ。追加でもう2種ツマミをもらって握りへと移行したのです。

〆が強かったけどまずまずだったコハダの次はカスゴの昆布〆。残念ながらベチャベチャでした。友里はカスゴの出来具合でその寿司屋の実力を判断しておりまして、この段階で世間の評価は過大ではないかと疑いを持ったのです。

藁で燻したサワラやキンメも柔らかすぎ、中トロもどうってことなく、ツメを引かず柚風味の煮ハマは好みではなかった。
この時期旬のトリガイも並レベルで、唯一良かったと感じたのは塩で提供された穴子のみ。今気づいたのですが、この店は「ツメ」を用意していないのかも。江戸前の華といわれる赤身(鮪)や白身も食べた記憶がなかった。

タネ質や仕事に傑出さを感じないだけではなく、気になったのが酢飯でした。赤酢を使用しているこの酢飯、かなり甘いのです。赤酢の芳醇さとは違うので、主人に確認したところ砂糖を使用しているとのことでした。江戸鮨ブームの中、砂糖使用を堂々と公言する鮨屋は珍しいと思いますが、かなりの砂糖の含有は友里の好みとはかけ離れていたのです。

ビールに日本酒で一人当たり1万5000円強。銀座の「鮨 太一」と同じ価格設定でありますが、1ヶ月以上待たされる、2回転させる、といった使い勝手の悪さに加えてこのタネと握りなら、私は「太一」を選ぶでしょう。
もうちょっと支払えば、いつでも入店できる(失礼)「鮨 大河原」もあります。予約困難や食べログ評価に純粋に釣られてはいけません。