雰囲気限定で料理に期待してはダメ、ひろや

鴨川沿いにあるビアガーデンのような床(ゆか)には興味がないのですが、貴船など山奥にある川床(かわどこ)には前から行ってみたいと思っていた友里。旧盆で関西へ行く途中、貴船で一番の老舗という「ひろや」を初めて訪問してきました。
どうせ行くならと食事込みの宿泊にしたのですが、その選択は大きな後悔となったのです。

食事込みで一人4万円近く、最高値のコースを頼んだので川側の部屋でしたが、山側で風呂もない部屋もあるようです。
設備は古く、部屋付きの風呂やトイレは無茶苦茶狭い。岩風呂という自称大浴場も、洗い場は3箇所でシャワーホースは1つしかなかった。
しかし問題はこの狭さ、設備のなさだけではありません。お湯が21時から朝の7時まで止まってしまって、夜9時以降風呂には入れないのです。昔の学生寮ではないのですから、こんな不便を客に強いて良いのかと憤慨しました。

夕食は18時頃から。甘い桃ワインの次はちょっと生臭かった黄身酢の蒸し鮑。
何の変哲もないホタテすり流しやタコの子、鯛寿司などの先付けが続き、鯨のコロ(皮下の脂肪)はしつこすぎ。細工仕立ての氷皿は立派でしたが、肝心の鮪や鯛の刺身はイマイチでした。

この時期楽しみだった鮎の塩焼きはどう味わっても養殖と思える風味のなさ。早松と言われたマツタケの炊き合わせも甘過ぎで、鱧の落としは梅肉に山葵がついていない。勿論鱧の質よくなかった。白飯も美味しくなく、最後にでたメロンがこの日一番でありました。

すぐ足下に流れる川の音を聞きながらの食事、朝夕は本当に涼しく雰囲気は良いのですが、いかんせん食事が京都市内の観光客専門店レベル。
貴船の川床へくる人自体が観光客しかいないようですから当たり前なのですが、真の京料理とは月とスッポンの違いでありました。

仲居さんはじめスタッフは親切で感じが良かったのですが、朝食中(7時から)に布団だけではなく浴衣やタオルを片付けられ、食後に風呂へ行けなかった。給湯制限といいこのオペレーションの悪さが致命的であります。

河床は昼から夜までの通し営業ですから、どうしても川床を経験したいならタクシーを時間チャーターして日帰りで十分。翌日訪問した祇園の京料理屋がいつもに増して美味しく感じた友里征耶の川床初体験でありました。