料理よりもサービスで女性客を呼ぶ、バカール

食べログはじめネットで大人気のフレンチ。カウンター6席と小さなテーブル2卓の小キャパで、昔からのフレンチ好きを捨て置き、若いカップルや独身女性客をターゲットにするという、最近の人気店と同じコンセプトの店であります。

オーナーソムリエは「ロオジエ」出身だそうですが、田崎真也氏のワインバーで下働きしていたことは知られておりません。
初めて行ったのは昨夏、オーナーの元上司(ワインバー)と一緒だったので遠慮したのか、彼のサービスに特徴を見いだせず、アラカルトで頼んだバーニャカウダ、鮎、バスク豚ソーセージ、鰻に鶉とどれも記憶に残っておりません。しかし翌朝までなぜか胃がもたれる重?い後味でありました。

再訪したのはこの初夏。
今度はカウンターに座り、ほとんどの客が頼んでいるコース(5500円)を選択しました。設定された料理からアラカルトの1品への変更を認める柔軟さはあるけど、2名だと前菜とメインは同じ料理にしなければならないのが残念。

定番なのかコースにも出てきた蟹味噌味のバーニャカウダ。10種以上の野菜は友里には嬉しかったが、肝心のバーニャカウダはアンチョビ味の方が好みでありました。
前回と同じく鮎のフリットは風味がなく、リエットも緩い。追加で頼んだ鰻とフォアグラのポワレ(前回とダブり)は鰻の薫香が印象的でありました。
甘鯛とホタテのソテー(アメリケーヌとベルモットのバターソース)、味わい的には懐かしのブールブランのイメージ。深みはなかったけど悪くはなかった。

そして本日のメインは鳩のアメリカンドッグ。変なネーミングですが、鳩の内臓ミンチのパイ包みでしてまずまずでしょうか。そして〆は鉄鍋飯と称する桜エビご飯でお腹は一杯となりました。
深みのある食材やソースではないのですが、バターの多用で重く感じる食後感。でもこれで5500円(鰻は追加)ならフレンチ入門の店としては合格点か。

今回の訪問でオーナーソムリエのサービスをじっくり見て、女性になぜウケるのかがわかりました。女性に料理を出して説明する時、「さぁ?行ってみよう」とタメ口感覚で話しかけているんですね。独身女性にはこのフレンドリーさが堪らないのかもしれません。コースにグラスワイン少々で満足する女性や若いカップル限定のフレンチです。