マダムの笑顔だけがウリではない、トルナヴェント

広尾と六本木の中間辺り、地番は西麻布3丁目のピエモンテ料理をウリにしているイタリアンが「トラットリア トルナヴェント」です。オープンしてもう直ぐ1年、ポツポツと雑誌に掲載されているようで、あの煽り専門の犬養裕美子さんも取り上げておりました。私が今春昼夜訪問しての結論は、愛想の良いマダムに一票投ずるものの、さほどピエモンテ色を感じない料理。量や味付けからいってもトラットリアではないと判断しました。
定番のメニューの他に本日のおススメとして黒板に書かれた料理数はかなりのもの。ランチはコースが3種ありますが、単品注文にも応じる柔軟性もあります。前菜ではバーニャカウダ、パスタではタヤリンがありましたが、メインにそれらしきピエモンテ料理が見当たりません。ワインリストもそれほどの拘りを感じさせるものがなく、ホールも決して盛況とは言えなかったので、マダムの接客だけでは苦しい、もっと地方色を出した方がよいと思ったのです。しかし、たまたま目にした雑誌でこの店のポルチーニ料理を見て、今秋久しぶりに再訪した私は、評価を見直したのです。
前菜、パスタに使用するポルチーニがかなり大きく質も良さそう。単品オーダーではかなりのボリュームでありました。黒板にある料理もピエモンテ色が出ており、食指を動かされるものが多い。メインも山鶉、猪などジビエも揃っていてディープ感が出てきました。バーニャカウダはかなり濃厚でグッド、野菜も豊富に添えられております。各種パスタも悪くありません。そしてメインの肉類もシェフの個性が出てきています。こんなによい料理だったのか、と久々の再訪で驚いたのです。拘りを感じないワインストックに不満の方には、1本2千円で持込も可。極めて良心的です。ぜひ、好きなピエモンテ州のワインを持ち込んで楽しんでください。
おススメの前菜、パスタ、メインを単品オーダーしワインを頼むと軽く1万円を突破してしまうのでトラットリアとはいいがたい点がちょっと問題か。店は盛況ですが、あまりピエモンテ料理に固執していないような若い女性客が多くホールはかなり喧騒です。マダムの笑顔だけではなく料理自身がウリになったトルナヴェント、まずは昼に単品を試してお気に召したら夜に再訪してください。