シェフが交替して料理が一変、アピシウス

グランメゾンで唯一の3つ星だったロオジェがひとまず閉店したのは3月。ボリー氏からシェフを受け継いだメナール氏の料理は不人気でしたが、何故か人気だけは続いてグランメゾンの中では一人勝ちでありました。

日本だけではなく世界的にグランメゾン(オーナーがシェフを雇う高級店)がパッとしません。その理由は料理人の旺盛な独立志向にあるでしょう。
実力ある料理人達は自信家が多い。野心も強いので雇われシェフには満足しないのです。最近のグランメゾンではシェフに関して人材不足であると考えます。

このフレンチの老舗アピシウスも例外ではなかった。友里が初めて訪問したのは30歳台はじめ。背伸びしての同伴でしたが、場慣れしていない当時の私には敷居が高かったけど以来10年ほどたまにリピートしていました。
当時は故高橋シェフの全盛時でもあり、東京、いや日本で最高峰のフレンチを出す店であったと記憶しております。
ワインの品揃えも凄かった。何十年も前の古酒がリストにはゴロゴロ。値付けも安く同伴に懲りた友里は主にゲット用として使わせて貰ったものでした。

この店に異変が起きたのは高橋シェフがやめた頃。漏れ聞くところ、オーナー家のお家騒動があったようで厨房やホールのスタッフも分断されて混乱。他の銀座地下グランメゾン2店と共に埋没してしまったのです。
お家騒動も落着し、支配人やソムリエのテコ入れもして新生アピシウスとなったのですが、2代目シェフと相性が悪いからか友里の評価は良くなかった。

私の認識が変わったのは今年4月。偶然HPのメニューを目にして、以前と違う美味しいそうな料理表記が気になったのです。前菜の値付けが高くなった感じでしたが、直ぐさま訪問したのは言うまでもありません。

旬のアスパラ(香川産)、一工夫したオランディーズソースも美味しい。
定番の雲丹とキャビアの野菜クリームムースや海亀のスープもまずまず。コンフィとローストの2種の調理で供された仔羊も美味しく鴨肉のパイ包みも面白かった。
ワインの古酒は昔ほどではないですが、このラインアップなら日本では傑出もの。

料理、ワイン、サービスと食後感はかなり向上したと判断したのです。新シェフになったアピシウス、記念日やここぞのゲット用にオススメです。