京ブランドが確立されたからか大震災後のこの時期でも、京都の料理屋は盛況な店が多いそうです。見た目が上品で高級感があると一般客は思うのでしょうか。それに比して色と味が濃い東京風は高級感をもたれていないのではないか。
銀座には薄い色の出汁を使用している自称関西風オデン屋がいくつもありますが、客単価は私の経験から軽く1万円を突破するはず。
「おぐ羅」は下手に造りなどツマミを頼んだら2万円前後になりました。勿論その修業元だった「やす幸」もしかり。ところが色が黒い出汁を使っただけで客単価が劇落してしまうのがこのオデン業界であります。オデンタネにそれほどの違いがあるわけではなく、出汁とて原価は色が薄くても知れているはず。関西風(薄い色の出汁)=高級という間違った認識を利用した老獪な営業戦略と考えます。
この濃い色出汁の「お多幸」、結構都心に乱立しておりますが、グループによって経営が異なりまして、微妙に味と価格が異なります。新橋店の食後感に疑問を持った友里が別経営のこの8丁目店を訪問したのは4月はじめでありました。
時節柄かこの手の店でも席に余裕があり飛び込みで即着席。まずはツマミにカツオ刺身(1000円)をオーダーしました。さすが客単価4000円以下(食べログより)の店、カツオなど刺身は特に頼む必要のないレベル。薩摩揚げ(600円)や串カツ(2本580円)はなんとか許容レベルで、ポテトサラダ(500円)はキャベツなどが別に添えられてボリュームがありました。
この店は高額な自称関西オデン屋と違ってすべてのオデンタネ価格が開示されております。半片の500円が安いとは思えませんが、上は500円から下は玉子や豆腐の200円まで、レシートには料理価格が表示される明朗会計であります。
肝心のオデンですが、出汁の色が濃すぎる割に味は結構マイルド。甘めの味付けが個人的には疑問でしたが、オミヤのオデンも含めての支払いが一人6000円チョイ。ツマミや酒もたらふく頼みましたから、支払額を考えると文句は言えません。
色さえ気にしなければ自称関西風オデン屋の1/3程度でお腹一杯になるお店。所詮オデンとドライに考えれば、どちらを訪問するべきかは明らかであります。