なんちゃってピエモンテ料理に愕然、ラ・チャウ

田町にCPよいピエモンテ料理店があると聞いたのは今年はじめ。食べログでも4点を超える高評価で、レビューには西麻布にある兄弟弟子の店に行きたくなくなる優良料理店とあり私は直ぐピンと来たのです。
東京で一二を争う美味いイタリアンと評する「トルナヴェント」のシェフが修行したアルバ郊外の1つ星へここ数年通っている友里。そこで修行し店名を名乗る許可を得たシェフがまさか田町に店を出しているとは思わなかった。直ちに知人達と訪問したのはいうまでもありません。

でもビジネスホテル1階で大箱な店構えを見て、私は嫌な予感がしたのです。そしてメニューを見て訪問を後悔してしまった。
良く言えば料理数が豊富、はっきり言うとどこにピエモンテ料理があるのかと疑問の料理群。アイテムだけ多い料理の中で、私が知るピエモンテ料理がほとんどないのです。かろうじてピエモンテ料理と思われる料理も、タリオーリーニ(タヤリン)、ラビオリ(アニョロティ・ダル・プリン)と地元料理名の表記ではありません。括弧内がピエモンテ風の表記です。
しかもスタッフに「頬肉の赤ワイン煮込」の煮込み用ワインが何かを聞いても返事なし。ピエモンテ州のワインと即答しないので、この店は似非ピエモンテ料理店と推測したのであります。

厨房に居なければならないシェフがオーダーや皿出しで店内を駆け巡る光景にもビックリ。この大箱店の厨房をバイト並みのスタッフに任せっきりにしているのか。そのシェフに煮込みの赤ワインがピエモンテのワインでないことを直接確認し、私の推測は確信へと変わったのです。

バーニャカウダはソースがぬる過ぎで緩すぎ。トンナートもツナ缶をそのまま出したような後味。
シェフオススメの「肉の藁包み焼」がピエモンテ料理とは意外でしたが、まったく凡庸な蒸し焼料理でした。その他の前菜やパスタ、そしてもう1つのシェフオススメの鶏肉マレンゴ風も、まるで業務用ストックを使用しているとしか思えない後味のトーンなのです。

はっきり言って不味いだけの似非ピエモンテ料理なのにこの盛況さはどうなっているのか。田町の海岸側のような立地でしか通用しない、いや田町の立地にあわせた「田町風なんちゃってピエモンテ料理」と判断した次第です。
ピエモンテ料理の看板を下ろすか、再度アルバ郊外の1つ星で再修業することを私はシェフに提言させていただきます。