関西の過大評価寿司屋はこの店で修行しろ、鮨 安吉

大震災や原発事故の影響で東京の高額鮨屋の仕入れが心配です。
特に「うちは車エビを除いて天然だけ」と自称している鮨屋はネタ不足に陥っているはず。関西の店が高質な鮪を築地から引けないように、江戸前鮨屋が関西から上質の魚を仕入れることは難しいからであります。
今の状況では養殖、遠海、冷凍と公には言えないタネを黙って使用している高額寿司屋が強みを発揮するのではないでしょうか。大震災以後、鮨屋の訪問を控えていて鮨に飢えていた友里、出張で博多に来て、以前から気に入っていた「鮨 安吉」を訪問したのは言うまでもありません。

この店の特徴は小ポーションながらタネの豊富さ。ツマミと握りで30種近く出てくる酒飲みには有り難い鮨屋であるのです。
種類が多くとも、仕事を含めツマミや握りのレベルが低ければ意味はない。
昨年から機会がある毎に大阪や神戸の自称江戸前鮨屋を訪問している友里、東京での修行歴がないどころか、鮨屋の就業経験もない独学の主人が大きな顔して営業している関西鮨屋を試してみて、関西在住の鮨好きの環境の悪さに同情したのであります。
こんなレベルで満足しているのは、自称京料理店に喜んで通っている東京人と同じではないか。東京の高評価鮨屋と比べたら、関西有名鮨屋は遙かに低レベルと言っても過言ではありません。

しかし博多鮨のレベルは違います。この安吉はそこらの銀座鮨店に勝るとも劣らない食後感とCP感を与えてくれるのです。
結論から言わせていただくと、信じられないCPでほとんどのツマミと握りに満足。
ビールにシャンパン(ハーフ)とブルゴーニュワイン(ハーフ)、ぬる燗に熱燗をそれぞれ1本頼んでの支払いが2名でなんと4万円で終わってしまいました。
白ワインも地方ワインとはいえ有名造り手のジャドでありますから、普通の東京鮨なら倍近く請求されるのではないでしょうか。

煮タコ、蒸しアワビ、〆鯖、コハダ、煮ホタテなど江戸前仕事も高レベル。鰤ヅケ、牡蠣や鯛真子の焚き物、レア感ある穴子炙りなどのツマミや握りも大変美味しゅうございました。

私は大阪や神戸で自称鮨通の客にデカイ顔してツマミや握りを振る舞っている若手鮨屋主人に言いたい。
東京の鮨屋が無理なら、この博多の鮨屋で再修行して出直してこい、と。