代替わりしても食後感は不変、クチーナ・ヒラタ

初めて訪問したのは20年以上前か。今でこそイタリアンに地元郷土色を求める友里ですが、当時はローマとベニスくらいしか行ったことがなかった。
ボナセーラ系イタリアン(イタリア人のホールスタッフを雇い入店時にボナセーラと絶叫させるパフォーマンスで集客を狙った店)が出来始めていましたが、当時は「キャンティ」など日本風イタリアンが全盛でありました。高齢富裕層や業界人をターゲットにしていたので、肝心の料理は地元色がないどころか似非イタリアンでありました。

そんな時期、ディープさはないがそれらと一線を画す丁寧な調理と、メニューを用意せずマダムの口上(料理説明)だけでオーダーするシステムがウケたのか、人気店になったのがこのヒラタであります。友里もシェフとマダムの個性に惹かれてその後リピーターとなりました。

4?5年前だったか、二人が体調を崩して一時休養しても料理やサービスの食後感は落ちず、復帰して安心していたのですが、昨年5月突然の代替わり。平田夫妻の下で働いていた二人(町田シェフと寺田マダムで夫婦ではない)が新たなオーナー、果たして経営者となっても休養時と同じく食後感が落ちていないか。やっと友里が訪問できたのは今年になってからでありました。

かなり前からメニューが存在しておりましたが、料理価格は記されておりません。でも支払いは明細が記された明朗会計。頼む前菜の種類によって変わりますが、パスタ、メインと3皿では9000円を超えないのではないか。ワインも1万円前後のものが揃っています。

この日は定番の牛カルパッチョ、初ガツオ、フリットミストに白アスパラガスを前菜で注文。10年以上平田氏の元で働いてきた町田シェフ、オーナーになっても味不変を確認したのです。
タラの芽、コゴミ、タケノコなど春の食材を使ったプリマベーラは上品、サフランを練り込んだタリアテッレ(鰯とトマトベーズ)も美味しかった。久々に頼んだオッソブッコや仔羊の香草焼にも満足して店を後にしたのです。

調子に乗って古い赤ワインを頼んで支払い額は高くなりましたが、前菜やパスタを多く頼んでも料理代だけでは2名で2万円弱。
代替わりして安くなったような気もするクチーナ・ヒラタ、洗練された美味しいイタリアンとしてオススメです。