アンガス牛が泣いている、トレーダーヴィックス

友里が若い頃はデートスポットとしてちょっと流行ったニューオータニのトレーダーヴィックス。やけに店内が暗く、料理も変なアジアンテイスト。数回の訪問で嫌になり以来近づいておりませんでした。
最近はハワイ料理も出しているようですが、私が追い求める(大袈裟)アンガス牛のステーキを出していると知ったのは昨年末。300グラム以上のブロック肉を特製の窯で焼き上げるというフレコミに、赤身肉好きで軟らかい肉が嫌いな私は(アンガス牛は赤身が多く噛み応えがあると言われています)思わず脊髄反射してしまったのです。

年末だというのに店内の客入りはポツポツ。
メインはもちろんアンガス牛ステーキでありますが、まずは前菜からスタート。
シュリンプカクテル(2600円)はデカイだけで旨みなし。海老グラタン(2750円)も高いだけ。オリエンタル風春巻き(1800円)はこの価格で太いのがわずか一本のみ。シーザーサラダ(1700円)は目の前で造ってくれますが量も少なく資生堂パーラーの足下にも及びません。
アボガド&トマト(1600円)もあまりに高く、トムヤムクン(1600円これも高いぜ)が唯一まともと感じたものでした。この高いだけの前菜群を食べ進む中、私は嫌な予感がしだしたのであります。

この日の主役アンガス牛は300グラムが6000円、500グラムが1万円とアメリカの高級ステーキ屋を上回る立派な値付け。窯焼きを考え火入れを深くとミディアム以上でお願いした期待のアンガスでしたが、予想を大きく裏切る食後感に私は打ちのめされたのです。

グリル感を期待していませんでしたが、大きな窯の輻射熱だけの火入れだからか、食感はローストというか「蒸し焼き」そのもの。アメリカンステーキのように外側が焦げ気味にカリッとしておらず塩も緩過ぎ。旨みのない蒸し肉ではありました。
アンガス牛の特徴である噛むほどに肉の味が口中に広がるといったものも皆無で、これならチャコの北米ブロック牛の方がはるかに美味い。完全な期待はずれでありました。

ワインはアメリカ産が主体で、ニューオータニの専売特許である高い値付けも健在。前菜イマイチ、肝心のアンガスも良さを引き出しておらず、酒類もあまりに高過ぎ。再訪はあり得ません。