鮨屋か小料理屋か中途半端だけど・・・、おざき

和食で6年修業後、実家の寿司屋を手伝っていた若い主人が、ネガティヴな噂の多い「麻布十番 かどわき」跡に居抜きで今年オープンした「麻布十番 おざき」。13650円のコース1本ですが、ここはツマミを出す鮨屋というよりは握りを〆に出す小料理屋と考えてください。純粋な江戸前鮨屋と思って鮨通や鮨オタクが訪れるような店ではありません。カウンター6席、個室にテーブル1卓ですが、オープン当初に「東京カレンダー」で宣伝してもらったせいかいまのところ盛況です。
ツマミの合間に握りをちょっと出すというスタイルは「すし匠」系列の店ではよく見られます。しかしこの店は、鮪を2貫挟みますが7品ほど小料理が続いて、お決まりのような握りが8貫で〆となります。
訪問当時のメニューですが、ジュンサイと桃のジュレは桃が甘すぎ。定番というアン肝豆腐は、普通のアン肝の方が私は好み。濃厚な旨みが足りなく感じます。その次に天然マグロの握り2貫をはさみ、同じく定番の蟹ミソ入り毛蟹の甲羅蒸し焼き、秋田のフグとミンク鯨の刺身などが続きます。そしてゴマフグの白子焼き、鮑とフカひれの小鍋仕立て、ウニゼリー寄せ、最後の〆に握りが8貫。この価格から考えると料理は盛り沢山。毛蟹が小さい、白子はゴマフグか、握りに甘エビを出すのはいかがなものか、玉は出汁巻きではないか、といった文句をつけるつもりはありません。この価格でこれだけのアイテムの料理が楽しめるなら、目を瞑る範囲と考えます。出汁、煮切り、生姜と全体に甘めの味付けは好みの分かれるところ。私の好みではありませんが、最近の若手主人の鮨屋の傾向と言えるでしょう。玉も含めて握り鮨そのものは江戸前の拘りを感じませんが、7種ほどの小料理を含めてコース全体でこの設定価格を考えると、CPは悪いとは感じません。小瓶のビール、グラスワインにぬる燗を数本頼んで一人2万円弱。想定した予算をオーバーしたのは酒類が高いのでしょうか。主人は今のところ謙虚で店は満席。場所によっては2回転しておりました。早めに入ろうが遅めに入ろうが、1回転目は終わりが21時頃になるのが不満でありますが、江戸前に拘らずお酒と共に小料理と寿司を両方楽しみたい方にはおススメしていいお店です。