移転で更にイタリアンから遠のいた、アロマフレスカ

銀座移転は正解だったのだろうか。麻布の片隅でひっそりと営業していた方が、イタリアンもどきの料理が目立たなかったのではないか。相変わらず予約困難で3ヶ月待って訪問できたのは昨年末。久々にアロマフレスカを訪問して、私はますますイタリアンから逸脱してしまったと感じたのです。
良く言えば創作イタリアン、はっきり言えばイタリアの風土をまったく感じない料理を食べる度、私は「原田氏はイタリアへ行ったことがないのではないか」と思っていたからであります。

銀座へ移転して高くなった賃料をカバーするためか、2種しかないコースがかなり値上がっております。サービス料が含入していますが、季節のコースがなんと2万円ほど。2割近く値上げしてしまっておりました。

3ヶ月後の予約なのに入店時刻を17:30に指定する横暴さ。しかし指定された時刻にホールの客はゼロ。30分後に1組、その後ポツポツと客が入り始め最終的には19時過ぎにほぼ満席になりましたが、己のオペレーション能力不足を時刻指定という形で客に転嫁するのはいかがなものか。
本場イタリアの高額店はオープンが早くても20時。料理だけではなく、営業スタイルも本場とはかけ離れている「なんちゃってイタリアン」であります。

2万円のコースの初っ端はカルダモン風味の蒸し鰻。わずか3片の鶏胸肉を挟んで出てきたのはなんと自称「松葉蟹」でありました。セイコ(雌)をほぐしたものと雄のハサミが1本。殻と身の間に蟹味噌を挟んで香草焼にしていますが、イタリアンでこんなものを食べたがる客がいるのか。
上海蟹の玉子スープの登場にも唖然となりました。バカでかいだけで香りが貧弱な白トリュフ(追加で4000円)を振り掛けたタヤリン、魚介のリゾットとアイテムだけはイタリアンらしきものも出ましたが、スジアラの炭火焼きや野鴨の炙り焼のメインまで、はっきり言ってまともな料理は皆無でありました。

ワインの値付けも高くなっており、私には何の価値も感じないもどき、もとい創作イタリアン。この料理がイタリアンだと信じたら、その後の外食人生を踏み違えることになるでしょう。原田氏はイタリアで修業したのか、いや本場で料理を食べたことがあるのか、友里は疑問であります。