現在の集客状況がこの店の実力だ、野田岩 銀座

飲食業界の七不思議というのでしょうか、私には理解できない現象の1つが、東麻布の鰻屋「野田岩」の盛況さであります。
最近は「五代目」と枕詞をつけてきた自意識過剰の主人・金本兼次郎氏。
「天然鰻に拘っている」という文言だけでは物足りないのか、未だに「冬の時期は養殖鰻を出している」とか、箸袋には「肝などには釣り針が入っているかもしれませんので注意して下さい」との客釣りキャッチ、如何にも冬以外は天然鰻を出しているかと一般客に勘違いさせる商法をとっております。

しかし店内で多くの人が食している鰻重や蒲焼きは立派な「養殖鰻」。天然鰻の仕入れは僅かなので、オーダーしても女性スタッフは厨房へ確認しなければなりません。
それでもこの養殖鰻が美味しければ私も文句を言わないのですが、自称「2時間蒸し」の野田岩鰻、蒸し過ぎで食感がないだけではなく、肝心の旨みも抜け落ちております。
元から旨みのない養殖鰻を使っているのかもしれませんが、こんなフニャフニャで深みのない鰻の何処が良いのか。
店宣伝事業に特化した自称料理評論家・山本益博氏をうまく利用した宣伝手法も功を奏したのか、洗脳された味に無頓着な一般客で連日の商売繁盛。養子をとった五代目の娘さん、「ひらまつグループ」のマダムとタメ張るシャネラーだとも漏れ聞いております。

そんな過大評価鰻店が何を血迷ったか「次郎」と同じ銀座ビル地下に支店を出したのが今年半ばでありました。私が取引先を連れて訪問したのは今秋はじめの昼。銀座では客が居ないだろうと予想しての飛び込みでしたが、推測通り並ばずにすぐ入店できました。と言うより他に客は1組だけ。

本店と同じくメニューに明記されている肝焼きは何故か存在せず、天然の白焼き(3100円)、天然の蒲焼き(6000円)も本店と同じく淡泊で旨みを全く感じません。本来天然鰻は当たり外れが激しい食材で、そうは旨いものに出くわすものではありません。特に野田岩が仕入れる小さめの鰻に旨みを期待するのは厳しい。

本店と同じく蒸し過ぎで食感もなく旨みのない鰻を出す銀座店。野田岩の天然神話をそれでも信じたい人、牛肉含め柔らかいのが美味しいと勘違いしている人、そしてマスヒロさんの信奉者限定の鰻屋であります。